日銀は28日、2018年12月19〜20日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。このなかで何人かの委員が、最近の株式市場の動きについて「先行きの景気後退や何らかの市場のゆがみを示唆している可能性がある」と述べていたことが分かった。そのうえで「市場の変動がさらなるセンチメントの下振れにつながる悪循環に陥る可能性もある」と、注意深く点検していく必要があるとの見方を示した。

物価については「景気拡大や労働需給の引き締まりに比べ、なお弱めの動きを続けている」との認識を共有した。ただ、昨年10月以降の原油価格の下落を今後の懸念要因とする声や「生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価が足踏みしている」(ある委員)との指摘があった。その中で、ある委員は「物価が2%に向けて上昇していく姿は展望できない」との見解を示した。

金融政策については、一人の委員が、昨年7月に日銀が決めた「枠組み強化」の趣旨を踏まえると「長期金利が一時的にマイナスになることも許容すべきだ」との認識を示した。この委員は、長期国債保有残高の年間増加額の約80兆円というめどのもと「柔軟に国債買い入れ額を増やす局面もあり得る」と述べた。

7月の枠組み強化の決定について、何人かの委員は、国債市場の機能度改善という観点から「おおむね所期の成果を挙げている」との認識を示した。先行きの政策運営について、一人の委員は、国債市場における新発債の残存率の低さなどを踏まえて「現状の国債買い入れオペ(公開市場操作)の運営には相応の見直し余地がある」と指摘した。この委員は「金利変動幅や金利操作目標年限などを柔軟に検討していくことが将来の選択肢として考えられる」とも述べた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2019/1/28 9:45
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL28HRD_Y9A120C1000000/