Aところが、安倍内閣はTPP交渉に参加させてもらうために、日本から米国への自動車輸出について、乗用車の関税率は14年間、売れ筋のSUVなどの車種は29年間、関税率を一切引き下げないことを呑んだ。

唯一のメリットである自動車輸出関税を長期間引き下げないことを確約させられた上でTPP交渉に参加させてもらったのだ。

このことが、TPP交渉への参加の「売国性」を象徴している。

日本の為政者が、なぜ日本に不利益になる行動を取るのか。

不思議に感じる国民が多いだろう。

しかし、これが現実なのだ。

彼らが国を売るのは、国を売ることによって、自分自身に利得があるからなのだ。

「いまだけ、金だけ、自分だけ」の三だけ主義者は、躊躇なく国を売る。

見返りに巨大な報酬を得ているのだと考えられる。

また、米国支配者の命令に従っていれば、身が安泰になる。

逆に米国の支配者の意思に反する行動を示せば、必ず、人物破壊工作の標的にされる。

鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、細川護熙、鳩山由紀夫、小沢一郎の系譜がこれだ。私もこの系譜に含まれている。

そのTPP交渉への参加認可が下りるかどうかと言うタイミングで麻生太郎氏が米国のCSISで講演して、「日本の水道をすべて民営化します」と宣言した。

これほど分かりやすい図式はない。

10月15日のオールジャパン学習会で、拓殖大学教授の関良基氏が水道民営化について講演された。

日本では水に対する需要が減少し、市町村が運営する水道事業は経営的な厳しさを増している。

また、施設、設備が老朽化しており、その修復や更新が必要になっている。

関氏は、この事実認識は正しいが、これは水道民営化の根拠にはならないと指摘した。

水道は価格が高くても低くても、どうしても使用しなければならない「生活必需品」である。

まさに「命の源」である。

しかし、世界では水道水を安全に飲用に利用できる国は圧倒的に少ない。

国土交通省が発表している水道水を飲める地域は、アジアでは日本とアラブ首長国連邦の2ヵ国のみ。

その他は、ドイツ、オーストリア、アイルランド、スウェーデンのストックホルム、アイスランド、フィンランド、ニュージーランド、
オーストラリアのシドニー、クロアチア、スロベニア、南アフリカ、モザンビーク、レソトの15ヵ国だけだ。

世界の196ヵ国中でこれだけしかない。