今年の最終盤で激しい浮沈を見せる日経平均株価。1010円安で2万円を割り込んだ日の翌日(26日)時点では25日移動平均からの乖離率がマイナス9.66%、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が70を割り込むなど、指標面からみて明らかに下げ過ぎの水準だったが、もうひとつ、裁定取引残高がマイナス(売り残高が超過)という珍しいシグナルがその直前に灯っていた点も見逃せない。

東京証券取引所が発表した21日時点の裁定取引残高では、売り残高が2.94億株に対して買い残高が2.84億株。差し引きで売り残が0.1億株多くなったが、こうした現象は過去にも極めて稀だ。代表的な局面としては1998年8月、2016年9月が挙げられる。

■裁定売り残が買い残を逆転
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東海東京調査センターの仙石誠氏は「過去の状況をみても下げ過ぎだったというひとつのシグナルだろう」と指摘する。1998年8月はアジア通貨危機やLTCMショックにより相場が下落していた時期で、2016年9月はチャイナ・ショックやブレグジットの決定後に現れた現象。すぐに相場が反転したとはいえないまでも、いずれも安値圏であったことを示していたと仙石氏はとらえている。

国内証券のテクニカルアナリストは「確かに目先は上げが期待できる状況だが、先物が買われる条件も必要だろう」との見方を示していた。漫然たる不安から大きく水準を切り下げてきた日本株。きょうのところは上げで慌ただしく、19年もジェットコースター並みの上り下りが続く可能性もありそうだ。(中山桂一)

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2018/12/27 11:53
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