この会社は潰れるわ。始めからそういう策略だとしか思えない。

武田薬品、巨額買収承認後に待ち構える不安
https://toyokeizai.net/articles/-/253564
 「考える会」にも油断はあった。当初、2019年2月とされていた臨時株主総会は2カ月前倒しされた。同会をサポートする
三島茂氏(三島ファーマアセット・リサーチ社長)は「欧州の規制当局の承認が出るのを早めるため、シャイアーの大事な
潰瘍性大腸炎の開発薬の売却をするのは武田経営陣の暴挙だ」と憤る。臨時株主総会を12月に前倒しするのが狙いで、
大事な虎の子を放棄しなくても欧州の承認は1〜2か月後には得られたはずだというのだ。
 さらに、2019年2月の株主総会となれば、シャイアーが4割のシェアを持ち、現在同社の屋台骨を支える血友病薬を脅かす
有力対抗馬である、ロシュ=中外製薬の画期的新薬「ヘムライブラ」の販売拡大の数字が決算で明らかになるのを怖れた、
というのが三島氏の推測だ。
 もちろん武田経営陣は一笑に付すだろうが、武田の潰瘍性大腸炎のブロックバスター(年商1000億円以上の大型薬)
「エンティビオ」との販売シナジーが期待できるシャイアーの有力開発薬の売却方針をなぜこのタイミングで決めたのか。
武田から説得力ある説明が聞こえてこないのも確かだ。

 ウエバー社長の最初の野望はかなった格好だが、問題はむしろこれからだ。
 まず、2019年1月8日には買収手続が完了する。英国ルールを盾に、反対派が開示を求めてきた統合後の収益予測を開示しない
理由はなくなる。買収報道が浮上した2018年3月下旬当時のシャイアー株に対し、6割以上も高い価格で今回の買収を強行した
合理性がはたしてあるのか。数字を元にきちんと説明する必要がある。

 買収で新たに加わる推定6000億円〜1兆円の「のれん」は、武田が採用する国際会計基準上、毎年償却費を計上する必要は
ない。計画していた見合いの収益が見込めなくなった時点で償却する。突然巨額減損の計上を迫られ、結果的に会社が消滅の
危機に追い込まれた例は、東芝をはじめ枚挙にいとまがない。

 シャイアーは合併に合併を重ねて急成長してきた。「世界最高」と呼ばれるシャイアーの希少疾患分野の製品は、たしかに
武田との重複が小さく、補完関係が成り立つかもしれない。しかし、シャイアーの収益柱である血友病などが新薬や新技術に
激しく追い上げられているのも事実。後期の開発パイプラインも、数こそ多いが、既存薬の寿命を延長させる適用拡大などが
多く、大型薬へと期待される薬も少ない。前期パイプラインは武田以上に不足し、シャイアーの研究開発力を評価する専門家
の声は必ずしも高くないのが真相だ。