2018年11月30日 15:27 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO38374320Q8A131C1EA4000?s=2

ソフトバンクグループ(SBG)が12月19日に上場させる国内通信子会社のソフトバンク(SB)は11月30日、株式の売り出し価格を決めるための仮条件が1500円になると発表した。SBGは最大で2.6兆円を得る見通しで、新規株式公開(IPO)としては過去最大規模となる可能性が高い。

SBGが保有するSB株のうち最大で約17億6400万株を売り出す。ここから計算すると、売り出し額は最大2.6兆円と、1980年代後半のNTT(約2兆3千億円)を上回り国内最大になる見通し。世界最大のIPOである14年の中国・アリババ集団(当時の為替レートで約2兆7千億円)に迫る規模となる。

仮条件は11月12日に公表した想定売り出し価格(1500円)を軸に決めた。SB株を売り出す業務を引き受けている証券会社は12月3日から仮条件に基づいて投資家の需要を調べる作業に入り、10日に最終的な売り出し価格を決める。

売り出す株式の9割は国内向けで、個人投資家が販売の中心になる。証券各社は異例のテレビCMを流すなど営業に熱を入れている。

各社がアピールするのが「配当利回りの高さ」だ。SBは連結配当性向で85%を目標に掲げる。想定売り出し価格で計算した配当利回りは5%と、ライバルのNTTドコモ(4.2%)やKDDI(3.8%)を上回る。

個人の関心も高い。都内在住の50歳代の男性は「安定配当銘柄として長期保有したい」と話す。幹事を担う証券各社には個人の問い合わせが相次いでおり「既に全株を売り切るメドがついた」(大手証券の幹部)との声も聞かれる。今後は募集規模を超えてどこまで注文が積み上がるかも焦点となりそうだ。