パナソニックの社内カンパニーで企業向けシステムなどを手掛けるコネクティッドソリューションズ(CNS)の樋口泰行社長は7日、第20回日経フォーラム「世界経営者会議」で講演し、「日本企業が復活するためには風土を改革し、社員の意識、行動を変えないといけない」と述べた。

日本企業はデジタル化、働き方改革など変化の波にさらされているのに「内向き思考で変化できていない組織、社員が多い」と指摘した。廃止を指示したはずの週報が名前を変えて存続していた自身の経験を挙げて「日本企業で何かを変えるのにはすごいエネルギーがいる」と話した。

「企業を変えるには外部の力も重要」と指摘した。CNSは社員が顧客と直接会わなくなっている状況を改革しようと、大阪から東京に本社を移転した。このおかげで「お客様第一主義に回帰できた」と話した。

オフィス内では座席が自由の「フリーアドレス」を導入し、社内コミュニケーションが良くなったという。樋口氏は「デジタル社会になりメールなど書き言葉が中心になっているが、人間が理解し合うには話し言葉が重要だ」と強調した。

ダイエー再生の経験を振り返り「当時は再生のプロが現場の人に意見してもなかなか聞き入れてもらえなかった」として、トップと現場が目標、苦しみなどを共有することが重要とした。

何事にも一丸となって取り組む日本企業の体質は評価しつつ「無責任体制になる恐れがあり、個人のアカウンタビリティー(説明責任)は明確にすべきだ」と話した。

樋口氏は新入社員でパナソニックに入社し、25年ぶりに2017年、パナソニックに専務執行役員として復帰した。「パナソニックに戻り、最も気になったのが内向き思考だった」と振り返り「売上や利益の増加、顧客の満足度につながらない仕事が多かった」と強調した。

同氏はパナソニックを退社後にダイエーやマイクロソフト日本法人などで経営トップを務めた。17年4月、パナソニックに4つあるカンパニーの1つ、CNS社の社長に就任した。
2018/11/7 12:59
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37465720X01C18A1000000/