英ブランド「バーバリー」のライセンス契約が切れた後の業績回復が遅れているアパレル大手の三陽商会が、中期経営計画の最終年度にあたる2019年12月期の収益見通しを下方修正した。ネット通販事業や直営店出店の遅れなどが響いて、売上高は650億円から620億円に、営業利益は20億円から5億円にそれぞれ引き下げた。

 先月30日に発表した18年1〜9月期決算は、売上高が前年同期比6・5%減の413億円、営業損益は22億円の赤字(前年同期は28億円の赤字)だった。中期経営計画の見直しもこの日発表した。9月に約250人の希望退職の募集も発表しており、退職金などの費用を特別損失に計上する予定。18年12月期通期の業績を押し下げる要因となる。

 巻き返し策として、ネット通販と実店舗の連携強化や、直営店の出店加速に向けて20年までに100億円超を投資する戦略を打ち出した。人工知能(AI)を扱うベンチャー企業ABEJA(アベジャ)(東京)との業務提携も発表。店舗にカメラを設置して画像解析で既存の顧客かどうかを判別し、購入履歴を元に商品提案などができるようにするという。

 こうしたデジタル強化策に加え、商業施設への直営店の出店も加速させる。ライセンスブランドに頼らず、「エポカ」などの自社ブランドも強化する。「手の届きやすい価格のブランドもつくる」(岩田功社長)という。経費削減のために控えていた広告宣伝も再開する。
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