【北京=原田逸策】中国国家統計局が31日発表した2018年10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月より0.6ポイント低い50.2だった。好不調の節目となる50は27カ月連続で上回ったものの、16年7月以来2年3カ月ぶりの低水準。米国との貿易戦争が企業の景況感にも響き始めているとみられる。

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米中摩擦が激化し、中国経済は曲がり角を迎えた。スマートフォンの販売店では、客足が鈍っている。(広東省広州市)

PMIは製造業3千社のアンケート調査から算出し、生産や新規受注が50を上回れば拡大、下回れば縮小を示す。

生産は前月比1.0ポイント低い52.0。節目の50は上回ったが、春節(旧正月)休暇で統計がふれやすい1〜3月を除くと15年11月以来の低水準だ。新規受注も同1.2ポイント低い50.8に沈んだ。

背景にあるのは米国との貿易戦争。米国は7〜9月に計2500億ドル(約28兆円)分の中国製品に追加関税をかけた。輸出に限った新規受注は前月比1.1ポイント低い46.9と大幅に悪化し、今年6月から5カ月連続で50を下回った。輸入も同0.9ポイント低い47.6と4カ月連続の50割れ。輸出減少が新規受注の落ち込みにつながり、生産を下押ししている可能性がある。

雇用に波及する兆しもある。従業員の指標は前月比0.2ポイント低い48.1だった。政府が旗を振る債務削減のあおりを受け、民間企業の倒産が相次いでいることも背景にありそうだ。

2018/10/31 10:37
日本経済新聞
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