【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは12日、サイバー攻撃で大量の個人情報が流出した問題で、2900万人が実際に被害を受けたと発表した。これまでは最大5000万人に被害が及びかねないとしていた。このうち1400万人については登録した居住地、職歴、宗教、直近の検索履歴など個人の重要情報がハッカーに盗み見されたという。

フェイスブックは9月28日、アカウントにログインできる「トークン」と呼ばれる鍵を最大5000万人分盗まれたと発表。この日は、その後の調査の結果、実際の被害対象が想定よりも減ったことを明らかにした。

被害を受けた2900万人のうち、1400万人についてはユーザー名や性別、婚姻状況、シェアした訪問地、交流サイト(SNS)視聴に使ったネット端末などを含む個人の詳細情報がハッカーによるアクセスにあっていたという。別の1500万人については名前や電話番号、電子メールアドレスへのアクセスにとどまっていた。

被害にあったユーザーにはフェイスブックが近く通知をする。具体的な被害地域は明らかにしていないが同社の欧州拠点があるアイルランドの当局とは情報を共有しているという。仮に欧州連合(EU)域内で個人情報保護に問題があるとされると「一般データ保護規則」(GDPR)に基づき巨額の制裁金を科される可能性がある。

実際に誰がハッカーで狙いは何かなどについてフェイスブックは「米連邦捜査局(FBI)が調査中で、言及するなと言われている」として詳細の説明を避けた。

9月の発表ではフェイスブックのアカウントと連動した第三者のアプリサービスにもハッカーが侵入する懸念が指摘されていた。これについてはフェイスブックは「現時点で被害は確認されていない」とした。
2018/10/13 9:29
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36460990T11C18A0MM0000/