家具のシェアリングサービスを運営するElaly(エラリー、東京・港、大藪雅徳社長)は7月から試験提供していたサービスを本格的に始めた。このほどサムライインキュベート(東京・品川)や複数の個人投資家を引受先とする第三者割当増資で数千万円を調達した。調達資金を活用し、現在は500〜600種類の家具の品ぞろえを1000種類に増やす。

https://www.nikkei.com/content/pic/20181012/96958A9F889DE1E4E6E2E7E7EAE2E3E0E3E2E0E2E3EAE2E2E2E2E2E2-DSXMZO3640487012102018XY0001-PB1-1.jpg
airRoomでは月額500円から家具を借りられる

同社が運営するサイト「airRoom」はイスやテーブルなどの家具を月額500円から借りられる。利用期間は1カ月から12カ月。引っ越しや単身赴任、模様替えなどのニーズに応える。初期費用はかからず、決済はクレジットカードで行う。試験版ではすでに数千人の利用者を集めているという。

「東京だけで90億円、日本全体で500億円もの家具の廃棄が発生している。シェアを活用することで無駄をなくせる」。大藪社長は起業の背景をこう説明する。一人暮らしや転職者の増加で短期間で引っ越す人が増える一方で、「2人に1人は引っ越し時に家具を買い替えている」と指摘する。洋服のシェアを手がけるエアークローゼット(東京・港)などシェアリングエコノミーが普及する中で、家具でも購入から利用に切り替える動きが広がると予想する。

エラリーは地方の家具メーカーなど提携する数十社から家具を調達して利用者に貸し出す。家具の市場は年々縮小しており、特に地方では倒産件数が増えているという。「デザインなど品質は良くてもマーケティング力が弱いのが苦戦の原因」とみており、東京を中心に都心部の利用者を開拓する。

大藪社長は23歳で、2018年5月に同社を設立した。今回の調達資金はサービス機能や品ぞろえの拡充に充てる。月額5000円ほどで、イス、テーブル、ソファなど部屋に必要な家具をパッケージで借りられるプランも始める。将来的にはクッションなどの雑貨や家電製品に広げることも視野に入れる。現在の従業員数は5人で、今後は10人強に増やしていく。

2018/10/12 12:19
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36405580S8A011C1000000/