【上海=松田直樹】中国国営の新華社通信は同国を代表する民間企業、アリババ集団のジャック・マー(馬雲)会長が「米国で100万人の雇用を創出する計画を実現できない」と明らかにしたと報じた。馬氏は2017年1月に米大統領に就任前のトランプ氏と会談した際、米国で100万人を雇用すると確約していた。米中貿易戦争を踏まえた発言で、米側に対するけん制につながると受け止められている。

 新華社通信の取材に対して馬氏は「米中関係が友好的であることが前提の雇用計画だが、既にその関係性は崩れており、計画を実行する手段がない」と語った。その上で「米中の貿易関係が健全に発展するよう努力しなければならない。貿易は米中が争う武器ではない」と指摘した。

 馬氏は17年1月にトランプ氏とニューヨークのトランプタワーで会談した。アリババのサイトでの偽造品問題などについて意見を交わし、馬氏は「米国で100万人の雇用を創出する」と話していた。

 アリババも両者の会談後、米国の農産品や衣料品の中国での販売が広がるよう、自社のネット通販を通じて支援する方針を示した。その結果として、5年間で100万人の雇用創出が米国で見込めると表明していた。
2018/9/20 13:04
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35558950Q8A920C1EAF000/