2018/9/13 14:30 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35312680T10C18A9EE8000/?nf=1

 日本の設備投資が伸び続けている。内閣府が13日に発表した7月の機械受注統計は、製造業からの受注額が前月比11.8%増と好調さを維持。企業の利益が最高水準に積み上がる中、手持ちの資金を省力化投資などに充てる動きが活発だ。非製造業でも投資が積極化。ただ、米国発の貿易摩擦の行方が今後の基調を左右する。

 7月の機械受注は設備投資の先行指標となる船舶、電力を除く民需が9186億円。前月比11.0%増となり、投資が好調な状況を反映した。

 好調な製造業のうち、設備投資用の機械を作る「はん用・生産用機械」メーカーからの受注額は前月比7.6%増。年度初めから7月まで4カ月間の受注額は、比較できる2011年以降で最大だ。

 製造業の設備投資はリーマン・ショック後の08年秋から大きく落ち込んだが、足元の月間受注額は当時の2倍程度まで戻した。これまでの世界的な景気回復で半導体や自動車の生産が活発になり需要を押し上げた。国内では人手不足に伴う省力化投資も活発だ。

 外需の後押しを受けた製造業の活況で国内景気も回復が続き、投資の波は非製造業にも及んできた。非製造業(船舶・電力を除く)は7月に前月比で10.9%増。15年9月以来の2年10カ月ぶりに2桁増となった。

 景気回復に伴うモノの動きや通販の普及などを背景に、運輸業・郵便業は7月に前月比で23.7%増。卸売り・小売業も28.4%増だ。建設業や通信業も2桁増となった。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「景気回復に低金利など投資環境は良く、企業の資金は設備投資に回っている」と指摘する。

 今後は世界的な貿易摩擦の影響が焦点となる。SMBC日興証券の宮前耕也・日本担当シニアエコノミストは「米中貿易戦争への懸念で、製造業は設備投資をなかなか積極化できない」と分析。企業の様子見が強まり、7〜9月期の製造業からの受注は6四半期ぶりに減少に転じる可能性があるとみる。

 既に影響が出ている可能性もある。米国が3月に追加関税を課した鉄鋼業は7月に10.2%減と6月に続く2桁減。3カ月連続で前月割れとなった。内閣府は追加関税の影響が「あるかもしれない」との見方を示した。