ソフトバンク系のスマートフォン決済サービス運営会社「ペイペイ」(東京)と、中国の電子決済サービス最大手「支付宝(アリペイ)」運営会社の日本法人(同)は5日、両社のスマホ決済を利用できる店舗拡大に向けて事業提携すると発表した。両社は、中国からのインバウンド(訪日客)向けにアリペイ、日本人向けにはペイペイとサービスを棲み分けながら、日本でのキャッシュレス(非現金)決済の普及を目指す。

 ペイペイとアリペイは、両社それぞれのスマホ決済アプリで共通して読み取れるQRコードの店頭への掲示を進めることで合意。小売店や商店にとってはペイペイに加盟することで、中国最大手のスマホ決済であるアリペイ利用者の消費も取り込めるようになる。今後、ペイペイとアリペイのアプリ利用者間で送金できるサービスでも連携する方針だ。

 ペイペイは、ソフトバンクやヤフー、インド最大手のスマホ決済事業者「Paytm(ペイティーエム)」の3社が国内で10月から開始予定のスマホ決済サービス。6月から加盟店の決済手数料を無料にして営業活動を展開している。

 5日に開かれたアリペイのイベントに登壇したペイペイの中山一郎社長は、来年1月末までの期間限定で加盟店に決済額の1%を還元する方針も発表。同様に決済手数料無料で加盟店開拓を進めるLINE(ライン)に対抗する。

 一方、アリペイは同日のイベントで、国内のバス車内でアリペイで決済できる支払機のデモを報道陣に公開した。今後、空港と都市間を結ぶバス路線などに支払機を導入し、訪日客の利便性向上を目指す。

 アリペイは6月に沖縄都市モノレールで決済の実証実験を行ったほか、地方の加盟店開拓の牽引(けんいん)役として地銀と協力するなど、アリペイの普及によるインバウンド消費拡大で地方経済活性化に貢献する考えだ。
2018.9.6 06:13
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