KDDIは5日、外部企業と組んで新サービスを開発するための拠点「KDDIデジタルゲート」を東京都港区で開設した。次世代通信規格「5G」の高速通信を使える環境を用意し、新サービスに取り組みたい企業を呼び込む。有力な新技術を持つ企業などといち早く連携し、将来の収益源を確保する狙いだ。

 東京・虎ノ門の「虎ノ門ツインビルディング」内に設けた。広さは930平方メートル。5Gの電波環境や、携帯電話網を使ってあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の環境を試せるような設備を用意している。

 アイデアの発案から実験まで、一連の流れを同じ拠点内で試せるようにしたのが特徴だ。主に大企業の使用を見込んでいる。「幅広い業種の新規ビジネス開発担当者を呼び込みたい」(山根隆行センター長)という。

 高橋誠社長は同日の記者発表会で「実験環境を用意するだけでなく、ビジネスモデルを(KDDIが一緒に)組み立てていけるような場所にしたい」と話した。案内や体験は無料だが、具体的なビジネス設計や開発に取り組むには利用料がかかる。料金は同社がサポートする担当者の人数や期間によって変動する。

 新拠点には約10人のKDDIの担当者が常駐し、利用企業を後押しする。IoT通信のソラコム(東京・世田谷)やデータ分析のアライズアナリティクス(同・渋谷)などの子会社もそれぞれの得意分野を生かし、必要に応じて支援にあたる。

 スタートアップ企業を外部の大企業と結びつけ、資金面などでサポートする育成プログラム「ムゲンラボ」も渋谷ヒカリエ(東京・渋谷)から新拠点に移管する。新たな事業分野へ参入したい大企業と独自の技術を売り込みたいスタートアップが連携を求めて出会う場所にもする考えだ。

 KDDIは外部企業やスタートアップの力を成長につなげる戦略を加速している。4月に就任した高橋誠社長はインターネット接続サービス「EZweb」をスタートアップ企業と組んで開発した実績を持ち「新しい技術は外部企業の方が、たけていることが多い」とみている。外部の力を幅広く取りこんで「5G時代」の競争に勝ち抜く構えだ。

(河野真央)
2018/9/5 14:24
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35003040V00C18A9X12000/