2018年8月22日 10:38 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34437130S8A820C1MM0000?s=2

【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは21日、イランとロシアの関与が疑われる不審なページやアカウントを合計652件削除したと発表した。イラン関係では初の大規模摘発。米国に加えて英国、中東、南米での閲覧を想定したページで、同社の交流サイト(SNS)を国家が悪用する動きが世界規模で広がっていることが浮き彫りになった。

フェイスブックによると、背後にイランの国営メディアがいるとみられるアカウントが数百件見つかった。アカウントは写真共有サイトのインスタグラムのものも含まれる。これらアカウントは古いもので2011年から存在し、広告を出稿しイベントも企画していたという。

一部のページやアカウントは「独立系のイランのメディア機関」と名のっていたが、実態は国営メディアとつながっていた。あるページには約15万5000人ものフォロワーがいたという。フェイスブックへの広告代金は、米ドルと豪ドルで支払われていた。

同社はこのほか、米政府が過去に「ロシアの軍事秘密情報機関」と見なした組織とのつながりのあるページやアカウントも摘発した。イランを含めたそれぞれの不正アカウントの狙いについては明らかにしていない。ロシアについては2016年の米大統領選への関与が米議会などで取り沙汰されている。

この日、緊急の電話記者会見を開いたマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は同社のサービスを悪用する動きについて「(手法が)洗練され資金力もある」と指摘。引き続き対策を取っていく考えを強調した。