菅義偉官房長官は21日、札幌市内で講演し、日本の携帯電話の利用料について「今よりも4割程度下げる余地がある」と述べた。大手携帯電話会社が多額の利益を上げていることに触れ「競争が働いていないといわざるを得ない」と問題視した。値下げを促すため、格安スマートフォン(スマホ)の競争を実現させる意向も示した。

 菅氏は携帯電話の利用料について「あまりにも不透明で、他の国と比較すると高すぎるという懸念がある」と指摘。携帯電話会社について「国民の財産である公共の電波を利用している。事業で過度な利益を上げるべきでなく、利益を利用者に還元しながら広げていくべきだ」と話した。

 楽天の携帯事業参入に期待感を示し「格安携帯電話の競争もぜひ、実現させたい」と語った。「今まで以上によいサービス、わかりやすい、納得できる料金サービスが実現されるよう取り組みたい」と訴えた。

 菅氏は総務省が23日に開く情報通信審議会の総会で、利用料の引き下げなどの議論を始める意向を示した。新千歳空港で記者団に語った。一定期間の契約を求める「2年縛り」「4年縛り」の取引慣行や、自社で販売したスマホを他の通信会社で使えなくする「SIMロック」、端末と通信のセット販売に関して「消費者からわかりにくくて不満だという声が寄せられている」と説明した。 菅氏の発言が22日午後に入って市場に伝わると、携帯料金の値下げが業績を圧迫するとの見方から通信大手の株は軒並み下落した。KDDIは前日比5%安、NTTドコモが4%安、ソフトバンクグループも2%安でそれぞれ取引を終えた。

2018/8/21 17:40
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34404810R20C18A8MM8000/