[ワシントン=鳳山太成]トランプ米政権は24日、中国や欧州との貿易摩擦で国内農家に悪影響が出ていることを受け、最大120億ドル(約1兆3千億円)の救済策を実施すると発表した。大豆など米国の農畜産品が各国の報復関税の対象となり、農家に不満が広がっている。11月の中間選挙に向けてトランプ大統領や与党・共和党の地盤である農業州の支持をつなぎ留める狙いがありそうだ。

米農務省が大豆やトウモロコシなどの価格下落の影響を受ける農家に資金支援するほか、果物や豚肉などの余剰在庫を買い取る。米農産品の輸出拡大策を支援する。同省によると、報復関税の影響は約110億ドルに及ぶ。

ただ、補助金として各農家に配るのかなど、救済策の詳細は明らかになっていない。いずれも既存の法律の枠内で対応するとしており、農家の支援にどの程度の実効性があるかは不透明だ。

パーデュー農務長官は声明で「これは短期的な解決策だ。トランプ大統領が米国の利益となる長期的な貿易協定に取り組む時間を確保するのが狙いだ」と強調した。

トランプ政権は3月以降、鉄鋼とアルミニウムに追加関税を発動。7月6日には中国の知的財産権侵害への制裁措置として中国製品に追加関税を課した。中国は大豆や牛肉、豚肉などの米国産の農畜産品に報復関税をかけたほか、欧州連合(EU)やメキシコ、カナダも米国産の果物などに報復措置を打ち出した。貿易摩擦の激化に伴って大豆の指標価格が急落するなどの影響も出て、農家の不満が強まっていた。

2018年7月25日 6:55 日本経済新聞
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