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河田・平野論文では、「アマゾン効果(Amazon Effect)」と呼ばれるこのような効果に注目し、
日本においても、ネット通販の拡大が物価の下押し圧力を強める方向に作用してきた可能性があることを、
実証分析によって明らかにしている。

河田・平野論文から得られる示唆は、
ネット通販の拡大が消費者物価指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合)を0.1〜0.2ポイント下押ししている可能性があるというものだ。
この知見は、2%の物価安定目標の達成を後ずれさせる要因のひとつとして、アマゾン効果を考慮する必要があることを示唆するものである。

だが、ここで留意が必要なのは、最近時点についても物価は一様に下落してきたわけではなく、
2014年春にはコア(生鮮食品を除く総合)でみて対前年同月比1%台半ばの上昇率に達する局面もあったということだ(図表1)。
すなわち、物価はアマゾン効果以外の要因からも強い影響を受けるかたちで推移してきたということになる。

この点を踏まえると、河田・平野論文から得られる知見は、
足元の物価の弱い動きをめぐる議論とはきちんと分けて理解されるべきものということになる。
だが、残念なことに結論がひとり歩きして、「デフレの正体」はネット通販にあるというような受けとめ方をする向きもある。
だが、はたしてそのような理解は可能なのかということが、ここでの大きな論点ということになる。

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https://synodos.jp/economy/21850