・円は3月末以降、5%余り下落−年金基金がドルの下げ抑制か
・「株購入では総じて為替ヘッジはしない」−ドイツ銀のリポート

日本の投資家からの外国株式への需要拡大を背景に、
「質への逃避」で円が買われ値上がりするとの伝統的パターンに異変が見える。

  米中貿易摩擦の激化という通常なら円が買われる環境にもかかわらず、日本の通貨は3月末以降に5%余り下落。
ドルに対して年初来安値付近まで下げた。

  日本の投資家は3月末以降、外国株を買い増しており、
財務省のデータによれば6月29日終了週には過去最高となる9850億円を買い越した。
円の4月初め以降の騰落率はG10通貨で英ポンドに次ぐワースト2番目。
18日には1月以来となる1ドル=113円台の円安水準を付けた。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは最近の円安について、外国株投資なども含めて、
「日本から外向けにお金が出ているというところが大きいと思う」と指摘。
米国の景気は良く、「足元の米国の企業業績も大変良い」と話した。

  為替ヘッジコストの上昇と債券値下がりで、米国債投資は妙味が薄れた。これに対し、米国株は魅力的。
向こう1年で企業利益が27%伸びると見込まれるためだ。S&P500種株価指数は円建てベースで3月末以降に13%上昇。
米国債はヘッジコストを計算に入れると0.6%のマイナスになる。

  ドイツ銀行の為替ストラテジスト、マリカ・サクデバ氏は先週のリポートで
「株購入では総じて為替ヘッジはしない」と指摘。
また、「世界的な株安局面を日本の年金基金が買いの好機と見て、
リスクオフ時のドル・円の下げを抑えている可能性がある」と記述した。

  財務省のデータによると、4−6月(第2四半期)の外国株の最大の買い手は信託口座だった。
信託口座は年金基金の委託先である場合が多い。

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Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-19/PC3DTC6KLVR401