・この1週間の販売量は過去1年と比べて5倍−英ブリオンボールト
・田中貴金属工業では6月の金の販売量が1年8カ月ぶりの高水準

欧米の個人投資家の間で金需要が急増する動きが出ている。
米中貿易摩擦の激化や欧州連合(EU)からの離脱を巡る英政権の混乱など政治リスクが高まる中、
株式などとの価格の相関関係が弱く、安全資産とされる金への注目が高まっている。 

  個人向けに金地金のオンライン取引を手掛ける英ブリオンボールトは12日、
過去7日間の個人投資家による金の購入量が過去1年間の平均と比べて5倍に拡大したと発表した。
購入量から売却量を差し引いたネットの購入量の1日当たりの平均が12キログラムを超えたという。
同社の顧客は約7万2000人で、約9割が北米と欧州に在住している。

  リサーチ・ダイレクターのエイドリアン・アッシュ氏は
「英国のEU離脱問題、米中貿易戦争、そしてトランプ米大統領による北大西洋条約機構(NATO)の同盟国批判が
個人投資家による金需要急増の主な要因だろう」と指摘。
世界情勢の先行き不透明感の高まりを背景に、金価格の下落を捉えて購入を進めているとみる。

  12日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格は1オンス当たり1246.6ドル。
3日には一時、1240ドルを割り込み1年ぶりの安値を付けた。

■国内投資家の動向
  円建て金価格が年初来安値を付けた6月には国内でも金需要が盛り上がった。
最大の地金商である田中貴金属工業によると、同社の同月の金地金販売量は2.9トンと5月と比べてほぼ倍増し、
1年8カ月ぶりの高水準となった。貴金属リテール部の加藤英一郎部長は
「4月、5月の金の平均販売価格はほとんど変わらなかったが、
6月に価格が下落したことで次の展開を待っていた投資家が一気に動いた」と話す。

  一方、加藤部長は米中貿易摩擦の激化などは金を買う材料にはなるが、
日本の投資家の場合は価格動向に反応を示す傾向が強いと指摘。
7月に入って円建ての金価格は上昇しており、投資家は足元では「様子見」の姿勢に転じているという。

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-13/PBS7O46KLVR401