格安スマートフォン(スマホ)を手がけるLINEモバイル(東京・新宿)は2日、新たにソフトバンク回線を使った格安スマホサービスを開始すると発表した。LINEモバイルは3月にソフトバンクと資本提携を結び、ソフトバンクの子会社となった。ソフトバンク回線を使ったサービス開始と共にキャンペーンを拡充し、格安スマホ市場で巻き返しを図る。

 LINEモバイルは2016年9月に格安スマホサービスを開始。これまではNTTドコモからネットワークを借りて、サービスを提供してきた。2日に始めたソフトバンク回線を使ったサービスは、ドコモ回線と同じ料金体系とし、「ドコモ端末を使っている人はドコモ回線、ソフトバンク端末を使っている人ならばソフトバンク回線と使い分けてほしい」(LINEモバイルの嘉戸彩乃社長)という。格安スマホサービスでは、事業者が借りているネットワークと同じ携帯大手の端末を利用者が使っている場合、SIMカードを入れ替えるだけで格安スマホの通信回線を利用できる。

 キャンペーンも拡充。8月31日までに音声通話対応の通信サービスを契約した場合、半年間月額基本料を900円割り引く。LINEのデータ通信量が課金されない「LINEフリープラン」で月1ギガ(ギガは10億)バイトまでのデータ利用量の場合、通常月1200円の基本料金が月300円となる。

 ソフトバンク回線を新規契約、またはドコモ回線から変更した場合、7月、8月のデータ容量が契約プランが2倍になるキャンペーンにも取り組む。

 嘉戸社長は「LINEモバイルは最速にチャレンジする」と宣言。7月末からソフトバンク回線を使った通信速度を定点観測し、「月に1度でも毎秒1メガ(メガは100万)ビットの速度を下回った場合、ソフトバンク回線を使ったサービスの利用者全員に1ギガバイトのデータ容量をプレゼントする」(同)とした。

 LINEモバイルの経営環境は厳しい。調査会社のMM総研(東京・港)が公表した18年3月末の格安スマホの契約数シェアでは、7位以下のランク外に位置している。

 4月に公表した17年12月期の決算公告によると、売上高33億8514万円に対し、営業損益はほぼ同額の33億1153万円と大きな赤字。格安スマホ事業者は、原価に当たる携帯大手へのネットワークの貸出料が重くのしかかっており、LINEモバイルも売上高を上回る38億6772万円の売上原価を計上している。

 このような状況について嘉戸社長は「通信事業は最初にお金がかかる構造で当然の状況。黒字化のめどや加入者獲得目標などは開示できない」と説明した。
2018/7/2 13:03
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32489510S8A700C1TJ1000/