貿易を巡るトランプ米大統領の脅しをほんの数週間前なら、
「ディールを勝ち取る芸術的」交渉戦術だと誰もが受け流す方向に思えた。
しかし、中国などとの緊張が高まるにつれ、
フィデリティ・インターナショナルとトーマス・ミラー・インベストメンツは株式保有割合を引き下げた。

  トランプ政権は欧州連合(EU)から輸入する自動車に高関税賦課を警告、中国製品に対しては来週発動の関税に加え、
2000億ドル(約22兆円)相当に追加措置を実施すると脅しており、世界の株式相場は下げ足を速めた。

  トーマス・ミラーは最近、株式投資の比率を下げ、現金や代替投資資産を増やした。
同社のアビ・オラディメジ最高投資責任者(CIO)は
「投資家としては、可能性をベースに行動せざるを得ない」と指摘。「計算違いは起こり得る。そのシナリオの下、
全面的な貿易戦争に近づくものが経済見通しに打撃を与えないとは予想しづらい」と語った。
さらに、最終的に貿易戦争に至る
「可能性は小さいかもしれないが、起きた場合のインパクトは極めて著しい」とも付け加えた。

  25日の世界市場では、米S&P500種株価指数が4月以来の大幅安、欧州株も大きく下げた。
この背景には、現実に起こり得るとは依然思われていないものの、
貿易戦争が勃発して世界市場を揺るがすとの懸念がある。
自由貿易体制が何十年も続いてきたため、ベテラン投資家でも保護主義が引き起こす影響への対処経験に乏しい。
中国やEUは世界全体がリセッション(景気後退)に陥る危険を警告している。

  3月末の運用資産が3245億ドルだったフィデリティ・インターナショナルの顧客ポートフォリオマネジャー、
トビー・ギブ氏は「欧州はかなり景気循環的かつ輸出主導の市場なので、一部の地域よりも、
世界的な経済成長減速の影響を受けやすい」と発言。貿易摩擦をあおる
「レトリックはこの夏いっぱい、少なくとも米中間選挙まで続く公算が大きい」と付け加えた。
同社は「オーバーウエート」としていた株式を「中立」に引き下げ、現金と債券の割合を増やしたという。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)がEPFRグローバル・データを引用したリポートによると、
世界全体では今月20日終了週に、株式ファンドから130億ドルが流出した。

原題:Trump Trade Angst Deepens as More Funds Say They’ve Cut Stocks(抜粋)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-06-25/investors-cut-equities-as-trade-complacency-gives-way-to-anxiety

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Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-26/PAWMXX6KLVRM01