Bつまり、安倍政権が掲げたインフレ誘導という目標自体が完全な誤りだったのだ。

インフレ誘導に失敗したことは不幸中の幸いだった。

しかし、日銀のバランスシートは膨張し、今後、長期金利が上昇すれば、日銀が数10兆円単位の損失を計上することになる。

日銀はとんでもない時限爆弾を抱え込んでしまったのだ。

国民にとって一番大事なことは、一人あたりの実質賃金が増えることなのだが、安倍政権下で実質賃金は減り続けている。

この現状に対して、安倍政権は何の反省もしていない。

現在、国会で強行制定しようとしている法律は「働かせ方改悪法」である。

過労死水準の長時間残業を合法化する法律。

残業代を支払わずに労働者に長時間残業を強制する制度を新設する法律。

正規労働者と非正規労働者の格差を温存する法律が強行制定される。

狙いはただ一つ。

大資本の労働コストを削減することだ。

つまり、安倍政権は労働者一人当たりの所得を増大させる政策ではなく、労働者一人あたりの所得を圧縮する方向に政策の舵を切っているのだ。