Business Journal 2018.05.18
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 百貨店業界の盟主、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が8年ぶりに赤字に転落した。2018年3月期
連結決算の最終損益は、9億6000万円の赤字(前期は149億円の黒字)だった。

 地方店や高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」など収益力を下がった店を対象に減損処理をしたことや、
早期退職を実施し退職金を積み増したことにより、261億円の特別損失を計上したことが響いた。

 杉江俊彦社長は「不採算事業の処理に取り組み膿を出した」と説明。2019年3月期には「黒字転換する」
との見通しを示した。「中期経営計画の目標を1年前倒しし、2020年同期に営業利益350億円を達成する」
(同)とV字回復を目指す考えを示したが、前途は平坦ではなさそうだ。

 18年3月期の売上高は前期比1.2%増の1兆2688億円。訪日外国人客(インバウンド)による免税商品の
売り上げや子会社にした旅行、美容事業が好調だった。宣伝広告費や人件費を削減したことで、
営業利益は244億円と17年同期に比べて4億円増加した。

 国内百貨店は、インバウンド消費が多い銀座三越など一部店舗は順調だったものの、全店売上高は0.6%減と、
落ち込みに歯止めがかからなかった。

 郊外店や地方店の不振は鮮明だ。伊勢丹府中店など郊外5店舗中2店舗が前の期の売上高を下回った。
名古屋三越など地方10店舗のうち7店舗で売上高はダウン。広島三越、松山三越は最終赤字だった。

 19年3月期の売上高は1兆1950億円と、前期比5.8%減。伊勢丹松戸店を閉店したほか、クイーンズ伊勢丹の
運営会社の株式を66%売却し、アパレル子会社を清算した影響が出る。営業利益は前期比18.8%増の290億円、
最終損益は130億円の黒字を見込んでいる。


競合の百貨店各社は好調

 一方、競合の百貨店はインバウンド需要を取り込んで好調だった。

 高島屋の18年2月期連結決算は、売上高にあたる営業収益が前期比2.8%増の9495億円、営業利益は3.9%増の353億円、
純利益は13.4%増の236億円だった。営業利益は8年連続の増益で、10年ぶりの高水準となった。店舗別の営業損益では、
21年ぶりに国内全17店が黒字を達成した。

 関西国際空港でLCC(格安航空会社)を中心に発着便が増えた影響もあり、免税売上高は前期比42%増の487億円と
大きく伸びた。このうち、約半分の240億円を大阪店が占める。大阪店の売り上げは8.8%増の1414億円と伸び、
東京・日本橋店を抜いて66年ぶりに高島屋の一番店となった。

 19年2月期の営業収益は前期比1.2%増の9190億円、営業利益は15.1%減の300億円、純利益は21.8%減の185億円を予想。
今秋に東京・日本橋に開業する新たな商業施設の投資が先行するため減益となる。

 J.フロントリテイリングの18年2月期連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前期比3.8%増の4699億円、
営業利益は18.7%増の495億円、純利益は5.3%増の284億円だった。

 傘下の大丸松坂屋百貨店は免税売上高が479億円と前期比63%増えた。大丸心斎橋店が252億円で全体の過半を占め、
同店の免税売り上げは70%増となった。

 昨年4月開業した複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」のテナント収入も貢献した。

 19年2月期の売上収益は前期比3.2%増の4850億円、営業利益は2.1%減の485億円、純利益は7.1%増の305億円を
見込む。訪日客の活況は続くと予想し、免税売上高は15%増の550億円を計画している。




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