少子高齢化による労働力不足が深刻になる中、定年を65歳以上に引き上げる企業が増えつつある。厚生労働省の調べでは、定年を65歳以上にしている企業の割合は2017年は約18%にのぼり、10年あまり前の約3倍に増えたことが分かった。人材を確保したい企業と、できる限り長く働きたいシニア世代の意欲が背景にある。

厚労省の就労条件総合調査によると、一律定年制を定めている企業のうち、定年を65歳以上としている企業の割合は昨年に17.8%となり、17年(6.2%)の約3倍になった。

業種別の割合では、宿泊・飲食サービス業が29.8%で最も高く、運輸や建設、医療・福祉などの業種も20%を超えた。人手不足が顕著な業種ほど定年を延長する傾向が高いとみられる。

景気回復で若年層の採用が難しくなっていることもあり、同様の企業は今後も増える見通しだ。

高年齢者雇用安定法は、従業員の定年の下限を60歳と定める一方、12年の改正で希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を義務づけた。このため、企業は再雇用か、定年の65歳以上への引き上げや廃止で対応する必要がある。
2018.5.14 05:00
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180514/mca1805140500004-n1.htm