【シリコンバレー=白石武志】米ライドシェア最大手のウーバーテクノロジーズは11日、5月をメドに利用者がクラウド上にある乗降履歴などの個人情報を端末にダウンロードして自ら管理し、クラウドから消去できる機能を追加すると明らかにした。同社では過去に個人情報の大量流出を隠蔽していた問題が発覚しており、プライバシー保護を鮮明にして信頼回復につなげる。

「データポータビリティー」と呼ぶ新機能を使えば、利用者はスマートフォン用アプリの操作によって、クラウド上にある乗降履歴などの個人情報を自らの端末に移せるようになるという。飲食店の料理宅配サービス「ウーバーイーツ」などライドシェア以外のサービスも対象となる見込みだ。

欧州では個人の意思によって企業が持つデータを引き出せる「データポータビリティー権」を定めた「一般データ保護規制(GDPR)」が5月に施行される。ウーバーのプライバシー担当者は今回の機能追加について「GDPRのためだけの取り組みではなく、世界中を対象にしたものだ」と説明した。

ウーバーでは2016年後半にドライバーや乗客の名前や携帯電話番号など約5700万人分の個人情報が流出した問題を、17年11月に公表するまで隠蔽していた。同社は当局への報告を怠ったうえ、攻撃を仕掛けたサイバー犯罪者に対価を払ってデータを削除させていた。
2018/5/12 7:41
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30427260S8A510C1000000/