仮想通貨業界が揺れるなか、不祥事を起こした仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」を運営するテックビューロ(大阪市西区)が3月20日、資本金を13億8308万円から1億円に減資した。また、4月20日に登記上の本店を変更していたことがわかった。(東京商工リサーチ特別レポート)

◆「ゼロ円」で発行上限超すビットコインが売買可能に

 テックビューロは2月16日、システム不具合により「ゼロ円」で仮想通貨が売買できる状態が発生(ビットコインの発行上限を超える20億枚=約2200兆円分=の売り注文が出現)。金融庁が3月8日、テックビューロに業務改善命令を出していた。

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テックビューロの新登記上の本社地=4月27日、大阪市内

 5月2日午後1時までにテックビューロや「ザイフ」のホームページ上に、登記上の本店変更や減資の情報は確認できない。4月27日午前9時15分、東京商工リサーチ(TSR)は、テックビューロの取材窓口に本店変更などの質問を送ったが、5月2日午後1時までに返答はなかった。

 金融庁は3月8日、テックビューロに対し、「経営陣は根本原因分析が不十分で適切な再発防止策を講じておらず、顧客への情報開示についても不適切な状況となっている」などとして業務改善命令を出している。

 3月22日、テックビューロは近畿財務局へ業務改善計画書を提出。毎月、計画の進捗・実施状況を報告している。

◆錯綜した資本金をめぐる情報

 5月2日午後1時現在、テックビューロのホームページの会社概要の資本金欄は、「27億5513万円(2018年2月1日時点、資本準備金含む)」と記載。仮想通貨取引所「ザイフ」ホームページの資本金欄には、「8億3013万円(資本準備金含む)」と掲載されている。

 また、日本仮想通貨事業者協会(JCBA)の会員紹介のページでは、「資本金8億3013万円」となっている。

 テックビューロは、2月19日の官報に資本金の額の減少公告を出しており、5月2日現在のテックビューロの商業登記簿を取得すると、3月20日付で13億8308万2000円から1億円に減資したことが記載されている。

◆コインチェック騒動で揺れる業界に追い打ちも

 商業登記簿によれば4月20日に、本店登記地を大阪市西区西本町1−4−1から靱本町1−5−18へ変更している。4月27日、TSRが新本店登記地(靱本町)を訪問するとポストに「テックビューロ」との記載が確認できた。

 5月2日午後1時現在、テックビューロや「ザイフ」のホームページの「本社」は大阪市西区西本町1−4−1となっており、本店登記地が変更された旨のアナウンスは確認できない。同所はレンタルオフィスで当社の看板などはない。

 580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した仮想通貨取引所「コインチェック(東京都渋谷区)」の例を見るまでもなく、仮想通貨業界への風当たりはまだ強い。

 また、4月23日、金融庁から仮想通貨交換業の登録を受けた16社が集まり、仮想通貨の取り扱いに関する各種ルール整備を目指す新団体の「日本仮想通貨交換業協会」が発足したばかりだ。

 ザイフ(テックビューロ)も業界全体の信頼を得るためにも、財務内容や減資、本店変更などの情報は積極的に開示すべきだろう。

蛇足的関連リンク
堀江貴文(Takafumi Horie)さんのツイート:
"減資は税金対策でしょ。本店変更普通の会社もするでしょ。なんでこんなんが話題になるん?笑
仮想通貨取引所「Zaif」運営のテックビューロ、「減資と本店変更」 (東京商工リサーチ) - https://t.co/E0qg2JZ3nv";
https://twitter.com/takapon_jp/status/991615276792725504

(スレ立て依頼から)
2018.5.7 06:30
SankeiBiz(サンケイビズ)
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180507/bse1805070630001-n1.htm