BBC NEWS JAPAN 4月24日
http://www.bbc.com/japanese/43875603

ィンランド政府はこのほど、国民に最低限の収入を保障する「ベーシック・インカム」制度の試験運用を、
終了期限の今年末から延長しないと決めた。2017年1月に始められたフィンランドの取り組みには、
国際的な関心が集まっていた。

現在、失職中の2000人に毎月一律560ユーロ(約7万4300円)がベーシック・インカムとして支払われている。

試験運用の制度設計に当たったオリ・カンガス教授は、「政府のやる気は消えうせつつある。(試験運用への)
追加の資金拠出は拒否された」と語った。

ベーシック・インカムについては、失業中の人が安定した職を再び得る前に、一次的な仕事でしのぐのを
助けるとの見方が一部にある。制度が全面的に導入されれば、セーフティーネット(安全網)として
機能するとの議論で、単発で受注する仕事で収入を得る形態「ギグ・エコノミー」の広がりに伴う、
生活の不安定さの問題に対処できるというものだ。

制度を支持する人々は、ベーシック・インカムによって転職時にも収入が確保できるため、労働市場の柔軟性を
高めると主張している。

フィンランドは昨年初めに2年間の計画で試験運用を開始。欧州で初めての取り組みとなった。2000人の受給者は
失職中の人たちから無作為に選ばれた。

しかしフィンランド政府は、社会保障制度改革にベーシック・インカムとは別の方法を検討しており、
試験運用は予定通り今年末で終了させる方針だ。

政府の社会保障研究所(Kela)で研究員を務めるカンガス教授は、「政府が(試験運用を)拡大しないと決めたのは
少し残念だ」と語った。

フィンランド南西部トゥルクでBBCの取材に応じたカンガス氏は、試験運用の対象を失業中の2000人から
雇用されている人にも拡大するため、Kelaが政府に申請した4000万〜7000万ユーロの追加拠出は却下されたと話した。

Kelaの別の研究者、ミスカ・シマナイネン氏は、「社会保障制度の改革は政治課題になっているが、
政治家たちはベーシック・インカムだけでなく、別の多くの社会保障モデルについても議論を行っている」と語った。

フィンランドがベーシック・インカムの試験運用を始めた際、失業率は9.2%と、北欧各国の中でも際立って高かった。

加えて、フィンランドの社会福祉制度の複雑さが、ベーシック・インカムの試験運用を含む野心的な改革を
求める声の背景となっていた。

試験運用で得られた知見は2019年末まで発表されない予定となっている。


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