スーパーコンピューター開発を巡る助成金詐欺事件で、科学技術振興機構(JST)は30日、スパコン開発会社前社長の斉藤元章被告(50)の関係会社に、開発中止を伝え、融資した52億円の返還を求めると発表した。

 斎藤被告の関係会社は、世界トップ級の省電力と高速計算ができるスパコンを開発するとして、2016年度の補正予算から上限額を超える60億円の融資が決まり、52億円を受け取っていた。

 文部科学省やJSTによると、事件を機にスパコンの開発が停滞。目標性能を大幅に下回り、期限の6月までに完成できない見通しとなったため、「融資を決めた前提を満たさない」として、29日に開発中止を関係会社へ伝えた。融資した資金の不正使用は確認できなかったという。

 斉藤被告は2010年度以降、スパコン開発会社「PEZY Computing」などグループ3社の名義で、国の助成金や無利子融資総額100億円超を認められていた。

 このうち、経済産業省所管の「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から40億円超の助成金を認められ、12〜13年度の助成金計約6億5千万円を詐取した罪などで、東京地検特捜部に起訴されている。
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