大分県は9日にドローンを使った山間部での宅配サービス実証実験を行う。高齢者の利用を視野に大型ドローンに日用品など約10キロを積み、山越えに自動運転で運ぶ。山間部を舞台に10キロもの荷物を宅配する実験は全国初という。県では実用化に向け、安全性や積載量向上などへ課題を洗い出す。

実験は佐伯市宇目地区で実施する。地元商店から公民館まで約830メートルを味噌やしょうゆ、洗剤などの日用品を2個の荷物に分けて運ぶ。飛行ルートで2つの山を越えるのが特長で、中間地点で一度着陸して1個の荷物を下ろし、その後最終目的地に向かう。

 使用するドローンは縦横約1.7メートル、高さ約70センチ。8枚のプロペラを備え、重量は30〜40キロと国内最大級。地上50メートル程度を時速約10キロでゆっくりと飛行する計画。移動体通信業のモバイルクリエイトの子会社が製造した。県商工労働企画課では「実験を踏まえ、今後も他の山間部での実験を行いたい」としている。

 高齢化が進む同地区では近所に小売店がなく、交通手段も限られる「買い物弱者」対策が課題だった。2002年からは地元商工会議所がお年寄りの注文を受けた日用品を宅配するサービスを実施しており、「利用実績は年間でのべ1万6000〜1万7000件程度」(佐伯市番匠商工会)という。

 政府は成長戦略「未来投資戦略2017」で18年に山間部でのドローン宅配を行い、20年代には都市部でも本格化させるとしている。広瀬勝貞大分県知事は5日の定例記者会見で、「少子高齢化が進む中、宅配分野でドローン使用が日常化されれば大きな力を発揮する」と語った。
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