勘定系システムの完全統合と全面刷新――。16年前の発足時からの懸案解決に向け、みずほ銀行が動き出す。6月からいよいよ、構築を終えた新勘定系への切り替え作業に取り掛かる。総額4000億円を超える世界最大のプロジェクトは最後の山場を乗り越え、「3度目」の大規模システム障害を回避できるか。

 みずほ銀行は2018年2月15日、勘定系システムの全面刷新と完全統合に向けた最終切り替えスケジュールを発表した。2018年6月11日から9回に分けて、約450のみずほ銀行店舗などの口座データを現在の勘定系から新たに構築したシステムに移し、ATMをつなぎ替え、2019年度上期に全作業を完了させる。みずほフィナンシャルグループ(FG)の米井公治常務執行役員IT・システム企画部長が日経コンピュータの取材に応じ、「確実な移行に向け万全を期す」と意気込んだ。

 切り替えは「店群移行方式」で臨む。まず新システムを稼働させた上で、みずほ銀行とみずほ信託銀行(TB)の店舗を8グループに分けて各店の口座データを新システムに移す。ATMや営業店システムなども8回に分けて既存システムから新システムに順次つなぎ替えていく。

 初回は2018年6月11日だ。2日前の9日土曜夜からオンラインサービスを停止し、2013年度に稼働済みの業務共通基盤を新システムに対応させる。7月14日土曜日から17日火曜日にかけての2回目から口座データとATMなどの移行を始める。この回は旧みずほコーポレート銀行(CB)の勘定系システム「C-base」を利用中の新宿法人支店など18支店・営業部を対象にする。

 3回目から8回目にかけてがメインの作業だ。旧みずほ銀行(BK)の勘定系システム「STEPS」につながる店舗を移行する。移行データの多い大型店は安全を期して後半に実施する計画だ。3回目から8回目までは半年ほどかけ、概ね月1回の頻度で進める。

 BKの全店を移行した後、最終回となる9回目にTBの店舗を新システムにつなぎ替える。2019年の4〜9月に全ての切り替えを終える。1年がかりの作業だ。

リハーサルを50回
 みずほ銀行は2017年7月に新システムの総合テストなどを完了済みだ。2017年末にはユーザー受け入れテストを終え、ユーザーマニュアルの整備などを済ませた。最後の山場がこれから始まる移行作業だ。移行の候補日は休日に限られる。オンラインサービスを計画停止するためだ。予備日を設けてはいるものの、ひとたびトラブルが発生すれば、スケジュールがさらに遅れる可能性が出てくる。ATMが利用できないトラブルや口座振替の二重引き落としといったシステム障害につながる恐れもある。

 トラブルや延期を防ぐため、移行準備は念には念を入れて進めている。全店舗の全量データを使ったシステム移行作業のリハーサルや営業店業務の確認、経営陣が参画するリハーサルなどをこなす。6月の移行開始までの間に運用面を含むリハーサルも重ねる。実施回数は50回にも及ぶ。

 切り替え開始に備え、営業店端末やATM、外部接続システムなどについては2018年5月までに新たなプログラムを事前投入して、新システムに対応させておく。先行稼働させているCIF(カスタマー・インフォメーション・ファイル)や外貨定期預金といったシステムの接続先も、店舗移行を開始する前に新システムに切り替える。
以下ソース
http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/nc/18/020800015/022200002/