●内閣府のモデルに翻弄され続けた政府
日本の没落を先導した一つが「基礎的財政収支黒字化目標」であった。「基礎的財政
収支が均衡していれば、毎年の政策的な経費が税収などの毎年の収入でまかなわれて
いることになる。基礎的財政収支が改善していく方向であれば、国債残高対名目
GDP比の上昇スピードは抑えられ、財政破綻にはならない」とされた。しかし通貨
発行権を有する日本が財政破綻にならないことは財務省のホームページに書いてある。
http://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
外国格付け会社宛意見書要旨
1.貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダ
メンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。貴社の
格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、
格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。従って、以下の諸点に関し、貴社の
考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルト
として如何なる事態を想定しているのか。
(2) 格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタ
ルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。例えば、以下の要素をどのように評価
しているのか。
・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高
(3)各国間の格付けの整合性に疑問。次のような例はどのように説明されるのか。
・ 一人当たりのGDPが日本の1/3でかつ大きな経常赤字国でも、日本より格付けが
高い国がある。
・1976年のポンド危機とIMF借入れの僅か2年後(1978年)に発行された英国の外債や
双子の赤字の持続性が疑問視された1980年代半ばの米国債はAAA格を維持した。
・日本国債がシングルAに格下げされれば、日本より経済のファンダメンタルズではるか
に格差のある新興市場国と同格付けとなる。
2.以上の疑問の提示は、日本政府が改革について真剣ではないということでは全く
ない。政府は実際、財政構造改革をはじめとする各般の構造改革を真摯に遂行している。
同時に、格付けについて、市場はより客観性・透明性の高い方法論や基準を必要と
している。
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