米インテルのブライアン・クルザニッチ最高経営責任者(CEO)は8日に米ラスベガスで講演し、先週明らかになったCPU(中央演算処理装置)の脆弱性の問題について、「産業全体で影響を最小化するために対策を進めている」と強調した。2種類の脆弱性が指摘されている同社のCPUについても、過去5年間に発売した製品すべてについて1月中に「(ファームウエアの)更新を行う」と話した。

 パソコンからクラウドサービスで使うサーバーまで一般的なCPUのほとんどが対象となる脆弱性は、英報道をきっかけにして3日に表面化した。動作処理を高速化する仕組みに起因するもので、とくにインテルのCPUでは「メルトダウン」と「スペクター」という2種類の脆弱性が指摘されている。

 クルザニッチCEOは「実際のユーザーのデータで被害は起きていない」と改めて説明。先週来、グーグルやマイクロソフト、アップルなどあらゆるIT企業が脆弱性をカバーするために基本ソフト(OS)やブラウザーのアップデートを続けていることを紹介し、利用者にも万全を期すために「更新をしてほしい」と呼びかけた。

 自社のCPUについては、過去5年間の製品のうち90%以上のファームウエアを今週中に更新することを公表していたが、残りについても「1月中」にはすべて対策をほどこすとした。同社のCPUはパソコンやクラウドサービスで使うサーバーで高いシェアを持っており、迅速な対応が求められていた。

 ラスベガスでは9日に家電見本市「CES」が開幕する。クルザニッチ氏がCPUの脆弱性について発言したのは口火を切る「キーノート」の場で、「(講演を)始める前にしなければいけない話がある」と切り出した。説明の後は「イノベーションを祝う場だ」と通常の講演に移ったが、ところどころ疲れた表情をのぞかせていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25444390Z00C18A1000000/