ブロックチェーン(分散型台帳技術)を搭載したセキュリティー性の高いスマートフォン(スマホ)がインターネット上で話題を呼んでいる。スタートアップ企業のシリン・ラブズ(スイス)は、実現すれば世界初というブロックチェーン搭載スマホの開発に向け、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)で1億5780万ドル(約180億円)を調達したと発表した。

調達資金は、スマホやパソコンの端末シリーズ「FINNEY(フィニー)」の開発・販売に充てる。ブロックチェーンの活用により従来のスマホに比べ、サイバー攻撃や不正アクセスに対するセキュリティー性が高く、仮想通貨を安全に管理できるという。スマホとパソコンの販売価格はそれぞれ999ドル、799ドルの予定。

 シリン・ラブズは2013年にイスラエルの起業家らが設立し、テルアビブに研究開発拠点を持つ。16年にサイバー攻撃対策のソフトウエアを搭載した高級スマートフォンを開発した実績がある。今回のICOについて同社は「ブロックチェーン技術をより広い一般利用者に届けるための第一歩だ」としている。

 ICOを巡っては資金調達の幅が広がる画期的な手法として注目されており、欧米では今回のシリン・ラブズのように100億円規模の調達が相次いでいる。その一方で法的な位置づけが曖昧なため、投資家保護の仕組みが整っていないなど課題も多い。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25377540V00C18A1XY0000/