「Appleが古いiPhoneの性能を意図的に落としているのではないか?」という疑念が持ち上がったことに対して、2017年12月20日、Appleはこの内容が事実だと正式に認めました。これを受けて早速、Appleに対して損害賠償を求めるクラスアクション(集団訴訟)が提起されました。原告は他のiPhoneユーザーにも訴訟に加わるように呼びかけています。

発端は、「iPhoneのバッテリーを新品に交換したら、低下していたベンチマークスコアが回復した」という報告。この報告を受けて、「自分のiPhoneもそうだった!」という報告がReddit上にあふれ、Appleによる古いiPhoneの性能制限の存在が疑われました。

この騒動を受けて、ベンチマークソフトGeekbenchが、Geekbench 4によって収集されたスコア統計をグラフ化。iOSアップデートによって、iPhone 6sやiPhone 7の性能が制限されている事実がデータから明らかにされました。

統計データによる疑う余地のない事実を突きつけられたAppleは、IT系メディアからの問い合わせに対して正式に古いiPhoneのピーク性能を制限していることを認めました。その理由は、バッテリーの劣化によって生じ得る予期せぬシャットダウンなどを防ぎユーザー体験を損ねないようにするためだと述べました。これを不服とするiPhoneユーザーが、公表直後に訴訟提起に踏み切ったというわけです。

Appleに対してクラスアクションを提起したのはアメリカ・ロサンゼルス在住のStefan Bodganovich氏とDakota Speas氏。TMZによるとBodganovich氏はiPhone 7を使用しているとのこと。

Bodganovich氏は訴訟において、Appleが導入した性能制限措置はユーザーが所有するiPhoneの価値を損なわせており、決してユーザーに望まれておらず、また同意できるものでもないと主張しています。また、「Appleはバッテリーの劣化したiPhoneを保護するためとしているが、新しいiPhoneに買い換えさせるのが狙いだ」と主張。Appleが新型iPhoneを発売するにあたって旧型iPhoneを意図的に性能ダウンさせ、その事実を適切に開示しなかったことは、AppleとiPhone所有者との間に交わされた暗黙の契約を破る行為だというわけです。

Bodganovich氏はAppleに対して損害賠償と古いiPhoneの機能制限の停止を求めており、iPhone 7/7 Plus以前のモデルのiPhoneを数年間所有するユーザーに集団訴訟に加わるように呼びかけています。
http://gigazine.net/news/20171222-slow-down-iphone-class-action/