百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、検討していた来年正月三が日の休業を断念し、首都圏や地方の一部店舗で今まで通り2日や3日に初売りをすることを決めた。後ろ倒ししてきた冬のセールの時期も元に戻し、今冬は来月4日に始める。三が日休業の方針は「働き方改革」の一環として注目を集めたが、社長交代で実現には至らなかった。

2018年の正月の初売りは三越日本橋本店を除く首都圏の店舗など14店が3日、ジェイアール京都伊勢丹、福岡三越などほかの11店舗は2日とする。すべて今年と同じ日程だ。

 元日だけ休業し、2日に初売りをする百貨店が多いなか、大西洋・前社長は従業員の負担軽減策として、16年の正月は首都圏の店舗を中心に2日を休業にし、初売りを3日にずらした。さらに、18年の正月は三が日を休業し、4日から営業することを検討していた。

 だが、大西氏は今年3月に経営不振の責任を取る形で退任し、後任の社長に杉江俊彦氏が就いた。稼ぎ時の初売りを遅らせると、仕事始めに重なって集客に響くため、三が日休業は「現実的ではない」(広報)と判断を変えたという。

 三越伊勢丹HDは、大西氏の社長就任後、セール頼みの「安売り」で収益が悪化するのを避けるため、夏冬のセールの開始時期をライバルより1〜2週間ほど遅らせる取り組みも続けてきた。だが、今冬のセールからこの方針も撤回。他の大手百貨店とほぼ横並びで、1月4日に全25店舗で冬物のセールを始める。「冬物を売り切り、顧客のニーズに合わせて春物をできるだけ早く展開するため」(同)としている。(高橋末菜)
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