新システムの全面稼働は早くて2018年度中。京都市は「全庁体制を敷いて早期・確実な稼働を目指す」として、総合企画局長の下、関係局の部長級職員で構成する「京都市大型汎用コンピュータオープン化事業監理会議」を10月6日付で設置。システム開発と調達に詳しい学識経験者やシステム監査人といった専門家の意見を取り入れながら、今後の開発を進めるとした。

 また市議会で京都市は、システムズからの支払いが無い場合の対応を市議に問われ、「法令の規定に基づき督促する。督促期限までに支払われなかったら行財政局や弁護士と相談・協議し、法的措置も含めて対応を検討する」と答弁。別の市議は「裁判になるのは見え見え」と指摘した。

システムズは約2億円の未払金と数億円の作業費を請求する意向

 損害賠償を請求されたシステムズは、「一方的な契約解除には応じられない」(栗尾重光執行役員マイグレーション事業本部長)として支払いを拒否。2017年1〜3月に約1億9000万円分の未払いが発生しているうえに、「数億円分のスコープ外の作業費も発生している」(同)として、いずれの金額も京都市に請求する考えを示した。栗尾執行役員は「協議解決の道を京都市に閉ざされたので、裁判も視野に入れて準備を進めている。裁判するかは早々に決めたい」と話す。

 システムズは契約解除の無効を、自社のWebサイトで訴えている。2017年1月16日に京都市とシステムズで協議し、「現実に京都市側に現行システムの基本情報の不足がある事実を確認したうえで、京都市オープン化推進事業の完遂を最優先の共通の目標として、新たな役割分担と新たなスケジュールで作業を進める旨を合意」(同社Webサイト)したとの認識だ。その後、合意に基づいて作業計画を見直し、2017年7月末には合意した内容物を京都市に納品したとしている。

 京都市はこの見解を真っ向から否定する。「遅延の原因が『基本情報の不足にある』と確認した事実も、変更に合意した事実もない。システムズの主張は理解しかねる」。2017年1月16日にシステムズと面会した情報化推進室の職員は、京都市議会でこう答弁した。

 意見が食い違っている京都市とシステムズ。気になるのは、合意した内容を証明するものがあるかどうかだ。これに対してシステムズの栗尾執行役員は、「両社が押印するなどした正式な議事録はない」と話す。「責任者同士の話し合いで合意した。当社は内容をメモしてそれに従い、合意後に刷新プロジェクトの工程管理支援事業者のピースミール・テクノロジーを交えて、現場で京都市と作業を進めていた。京都市に書面で合意内容をもらいたいと依頼していたが、拒否された。受け取り期限に定めていた1月23日には京都市が第三者委員会の設置を公表した」(栗尾執行役員)という。

 2017年11月6日午前10時から再び京都市議会で、この問題が議題に上がる。システムズが支払いを拒否した事実を受け、京都市が今後をどう物事を進めていくのか注目である。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/110201189/?P=2
(おわり)