[東京 31日 ロイター] - パナソニック(6752.T)の津賀一宏社長は31日の決算会見で、米電気自動車(EV)メーカーのテスラ(TSLA.O)と共同運営しているリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」(ネバダ州)で生産が計画よりも遅れていることについて、ボトルネックははっきりしており、そう遠くない時期に生産量を増やせるとの見通しを示した。

ギガファクトリーはテスラの新型EV「モデル3」向けの電池を生産しているが、テスラは今月2日、「生産上の障害」によりモデル3の第3・四半期の生産台数が260台にとどまったと発表した。

津賀社長は現状について「テスラがモデル3の立ち上げに少し苦戦している関係で、電池の生産が車の生産を上回り、これ以上、電池を生産できない状況にある」と説明。このため、電池の使途を蓄電用に切り替えて生産しているが、「モデル3のラインのボトルネックははっきりしているので、早晩、車用のバッテリーの生産量を増やしてくことはできる」との見通しを示した。

同社の二次電池事業をめぐっては、テスラ依存のリスクを指摘する声もある。これについて津賀社長は、同社の二次電池事業は、1)テスラ向け、2)車載角形、3)ICT(情報通信技術)向けなど――の3つをバランスさせながら伸ばしていると説明。「テスラ向けの投資が大きいので、この稼働が上がらないとリスクがあるのは事実だが、これもテスラとの契約でリスクをヘッジしている」と述べ、「3つのカテゴリーをバランスさせることと、テスラとの契約でリスクはヘッジはできている」と強調した。

同社は同日、2018年3月期の業績予想を据え置くと発表した。営業利益予想は前年比21.0%増の3350億円と、トムソン・ロイターがまとめたアナリスト21人の予測平均3442億円を若干下回る数値となっている。

津賀社長は「公表値をクリアーすることについてはかなりの手ごたえを感じている」としながらも、「テスラなどに若干不透明要素があるので、いま上方修正を確定的にできる状況ではない。公表値をボトムに上積みを図っていきたい」と語った。

一部製品で神戸製鋼所 (5406.T)製の部材を使用している件については、直接購入分については「問題がないことを確認しているので、(費用を)請求する予定はない」としたが、第三者を通じて購入しているケースもあるため「引き続き注視していく」との姿勢を示した。

https://jp.reuters.com/article/panasonic-idJPKBN1D016X?il=0