日本銀行が電子マネーに関するレポートを公表して、一時期話題となっていました。これによれば、モバイル決済(スマホ等のおサイフケータイ、Android Pay、Apple Payなどで決済する方法)を利用する、と回答した人は日本ではなんと6.0%しかいないというのです。単純に考えても16人に1人しか利用していない、という計算になります。対応端末は3000万台以上あると推計されているのに、いかにも少ない割合です。

同じ時期に、ローソンの株主総会のエピソードも紹介されていて、これまた話題となりました。社長曰く、店頭のお会計で75%以上のお客は現金で会計をしている、というのです。レジの前にはあらゆる電子マネーのアイコンが並んでいて、利便性をアピールしていますが、実は4人に3人は現金利用ということになります。


初期設定の面倒を乗り越えるのは確かにハードル

ICカードタイプ、つまりプラスチックの電子マネーカードを使った利用は比較的簡単です。簡単な申し込み書類を書けば、その場でカードが発行されるだけだからです。

日本で一番決済金額が多い電子マネーカードはWAONといわれていますが、これはイオンの店頭で広く申し込み受付されているからです。イトーヨーカドーやデニーズ、セブンイレブンで使えるnanacoの利用が多いのも店頭でのカード発行案内が熱心であることに影響しているはずです。

Suicaや交通系電子マネーも同様で、「通勤で使っているカードだから」という理由で「発行する手間」を乗り越えています。

これに比べると、スマホを設定してモバイル決済の設定をするのはやや面倒です。まずアプリを自分でインストールしなければなりません。この段階でスマホユーザーの何割かはふるい落とされます。

また、同じEdyなのにおサイフケータイで設定することも、Android Payで設定することもできたりするので、ややこしいという人もいます。Apple Payも、クレジットカードを登録する手間を面倒に思う人がいたり、「実際はSuicaかiDかQUICPay」という構造がわかりにくいという人もいます。

そもそも電子マネー規格が多すぎるという問題も、モバイル決済の初期設定を妨げています。「楽天EdyかSuicaかWAONかnanacoかiDかQUICPayか」という乱立状態は、普通の人や高齢者にとっては「面倒だから、まあまた今度」とさせる理由として十分です。


それでも「便利かつ割安」を使わないという手はない

しかし、モバイル決済を利用しない手はありません。まず、「財布いらず」という利便性です。私たちは財布を持ち忘れても、スマホを忘れて出かけることはなくなりました。そのスマホに財布の機能が組み込めるのにこれを使わない手はないはずです。

次に「割安な決済手段」たりうる、ということです。クレジットカードで買い物をするとポイント還元があることはよく知られていますが、多くの電子マネーもポイントがつきます。0.5%ないし1.0%のポイントがつきますし、WAONなどはイオンの指定日には5%オフのクーポンと同じ効果も得られます。

クレジットカードからチャージすることができると、クレジットカードのポイントが得られ、かつ電子マネーのポイントも得られるという二重取りが可能になり、より割安な買い物が実現します。

現金で買い物するのと同じ金額を支払って、実際は数%の割安な買い物をすることができるのがモバイル決済(電子マネー)の意義なのです。


1つか2つ、スマホに電子マネーをセットしよう

iPhoneの場合、iPhone7以降の機種では電子マネー機能が付加されました。Apple Payの機能です。セットできる電子マネーは、SuicaもしくはiD、QUICPayがセットできます。設定は簡単なので、まずはSuicaを設定してみましょう。クレカも登録、連携しておくとチャージすらスマホのみで行えるようになり素晴らしく便利になります。Suicaはほとんどのコンビニと交通機関で使えるので困ることはほとんどないでしょう。
https://news.allabout.co.jp/articles/c/471574/