東芝の半導体子会社で売却手続き中の東芝メモリは13日、四日市市内のホテルで事業説明会を開いた。成毛康雄社長と、同社を買収する「日米韓連合」の米ベインキャピタルの杉本勇次・日本代表が出席した。会見の主なやりとりは以下の通り。

 ――2018年以降の設備投資や研究開発の投資額のイメージはどうですか。

 成毛氏「投資は基本的に年間3千数百億円というイメージ。土地はまだ取得していないが、四日市工場に新しい製造棟(第7製造棟)も検討している。増産は岩手の新工場でやる予定だが、第7製造棟は長い期間で活用することを前提に(建設を)考えていく」

 ――来年3月までに売却を完了できますか。米ウエスタンデジタル(WD)の訴訟リスクはどう見ているのか。

 成毛氏「3月より前に売却完了できるよう、独占禁止法の審査を含めベストを尽くしていく。ベインキャピタルは経験やネットワークを持っているため、ベインの存在は力強い」

 「WDとは、うまくやれる限りは一緒にやってきたい。現時点では訴訟があるが、なるべく早急に解決したい。会話のチャネルも開いている。なんらかのところで歩み寄れると考えている」

 杉本氏「我々もできる限り早くクロージングできるよう動いている。WDとの訴訟についても、パートナーとして今後、ともに成長するために、なるべく早く(解決)できるよう会話していく」

 ――サンディスクと東芝メモリ、資金の出し手となる韓国のSKハイニックスの3社の今後の関係は。共同投資や開発などをしていきますか。

 成毛氏「NAND型フラッシュメモリーの開発はサンディスクとの協業を中心に考えている。次世代型のメモリー開発も現時点ではサンディスクと一緒にやっていくつもりだ。SKとサンディスクと、すみ分けて開発投資をしていくスタンスだ」

 成毛氏「サンディスクとの間で様々な契約条項がある。変えるには、サンディスクやWDの同意が必要。SKとサンディスク、東芝メモリの3社で同じラインで製造することは今の契約ではできない」

 ――競合のサムスンにどう対抗していくのか。

 成毛社長「サムスンは私どもの1番の競合で意識しなければいけない。今後の展開を考えれば、サンディスクとスムーズな関係でやっていきたい」

 「岩手の新工場の単独投資は、東芝メモリの開発能力を考えれば不可能ではない。ただ、サムスンという大きなライバルと戦うのなら、1人より2人のほうが良いというのは間違いない。岩手を(サンディスク以外の)他の人とやるというのは単純には行かない」

杉本氏「今後も数千億円規模の研究開発と設備投資が必要。会社からのキャッシュフローが基本だが、それ以外にも我々が中心となって資金調達を一緒にやっていく。仮にサンディスクとのJVがなくなった場合、我々が資金調達の面でお手伝いする」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22225190T11C17A0X1E000/