「後々の人々は、こう言うでしょう」
今年7月に開かれたソフトバンクグループのイベント「SoftBank World」。2時間以上にわたった基調講演の最終盤、CEOの孫正義は神妙に語り出し、こう続けた。
「チップ(半導体)を制する者が、全てを制する、と」

孫がこう切り出した背景には、当然、昨年3兆3000億円を注ぎ込んで買収した英半導体大手のARMの存在がある。孫は、グループの「ビジョンファンド」を通じて、膨大な数の買収・出資を続けているが、ARMの存在は別格だ。

基調講演でも、今年にかけて出資を受けた10社のトップが次々と壇上に現れたが、ARMのCEOサイモン・シガースは、その大トリを務めた。孫も「グループにとって欠かせない『中核企業』」と断言する。

そこまで孫が入れ込むのは、半導体が、テクノロジーの未来に欠かせない「コア」だと確信しているからだ。

「サイモンの頭の中にある、これからやってくる世界、それがチップの設計の中に、実際の表現として表れてくる。今後、どのような世界がやってくるのか、人々のニーズと願望を想像しながら、チップに落とし込んでいく。それが我々の世界を形作ってくれるのです」

孫は、ARMを通じて「1兆個」のチップを供給すると繰り返している。

グーグル、アップル、アマゾンも参戦
世界中のモノがネットワークを通して繋がる「IoT(Internet of things)」。そして、それが生み出す膨大なデータから、パターンを見つけ出す「AI(人工知能)」。

このテクノロジーの2つの大潮流には、半導体は欠かせない。

センサーとして、あらゆる種類のデータを「知覚」するのも半導体であれば、膨大なデータを「頭脳」として情報処理するのも半導体だからだ。

すでに、テクノロジーの変革を受けて、半導体市場は沸きに沸いている。
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