0001ノチラ ★
2017/09/11(月) 20:04:16.41ID:CAP_USER富永: これまでの話は遠藤さんのビジネス黎明期、初動期のマーケティングでしたが、もうちょっと先に進みたいと思います。どんなヒット商品でも最初はどんな人が買ってくれて、そこからブームが広がってみたいなポイントがあると思いますが、Knotに関してはいかがでしょうか。
若者が腕時計をしないのは「いい出合い」がないだけ
遠藤: まず、これは自分の歩みに通じるんですけど、社会に出たばかりの新人のとき、ある先輩に「遠藤、つり革レースで一番になれるくらいの男になれ」と言われたんですね。つり革レースって何かというと、電車でつり革につかまると腕時計が見えますよね。その車内で一番いい時計を着けられる男になれと。もう二十数年前の話ですけど、いまだに覚えていて、Knotを始めるときにそのスイッチが入ったわけです。
それくらい、男性にとって腕時計は特別な価値があるものだと。思い出だったり、ステータスシンボルだったり、腕時計って男性にとってはそういうものだったはずなんですが、今電車に乗っていても、若いビジネスマンだと腕時計をしてない人のほうが多いんじゃないですか。自分は「いい腕時計をしたい」ことを1つのモチベーションに頑張ったわけですけれども、今の若いビジネスマンたちに腕時計のそういう価値を感じてもらえていないことを、すごく寂しく感じて。
でも若い人に「腕時計は欲しくないの?」と聞くと、「欲しい」と答える人が意外に多いんです。私、会社の裏にある成蹊大学の経済学部で年に2回講義をするんですが、「腕時計欲しい人!」と言うと、ほぼみんな手が挙がるわけですよ。「じゃあ、なんで買ってないの」と聞くと、「高いから」「ダサいから」。つまり、いい出合いがないだけなんですよね。
遠藤: 例えば、カシオのデジタル時計「G-SHOCK」。昔、空前のG-SHOCKブームがありましたよね。当時、私は学生だったんですが、それこそ朝から店の前に並びました。でもあの当時よりも、実は今のG-SHOCKのほうが売れているんですよ。
G-SHOCKが再飛躍を遂げた最大の理由がアナログウオッチを作ったということなんです。つまり、“針の時計”を作った。やっぱり腕時計というのは、どこまでいってもビジネスツールから始まったものであって、ビジネスウオッチとして成功しなければ大きなマーケットは取れないというのがまず前提にあるわけですよね。ですから、私どもはまずカジュアルではなくて、「大人」をターゲットにしようと。
富永: なるほど。
遠藤: さらに、将来50万円、100万円の腕時計を買う人だって、もともとは1万円の腕時計から始めたわけですよね。例えば、あのベンツだってAクラスというエントリーモデルを出し、ベンツという車の良さを分かってもらうという戦略をとっているわけです。
つまり、日本の時計産業を復活させるためにはエントリーモデルをしっかりと訴求することが必要だと思うのですが、大手メーカーさんの国産モデルはどんどん高級路線に入っています。そこで、まずは「若い子みんなに腕時計をしてもらう」ことを1つのテーマとしてノットを始めました。
そもそも私が最初に扱った腕時計ブランドは、米国のミリタリーウオッチでした。ターゲットは20、30代だったんですが、そのときに超大御所俳優、当時男があこがれる男性といえばこの人という俳優さんと個人的に親しかったので、彼にプロモーションをしてもらったんです。それが成功したことで、若い人に対しては「未来になりたい人が認めている」ということが大事なんだなと実感しました。人間って未来に向かっていくわけで、20代に普及させたいときに20代の今に刺さるPRをしてもなかなか刺さらなかったという経験があり、私はあえて少し上の世代に目線を置いたと。
それがクラウドファンディングだったんですけれども、5年前ですから、まだまだアーリーアダプターといわれる層の人たちしか活用してなかったわけです。この人たちに支援され、メディアもどちらかというとビジネス的なメディアにしっかりと紹介をしていただくことで、若い子たちがついてくるのではないかと。
以下ソース
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/1033760/090600014/