富士フイルムは7日、デジタルカメラ事業の売上高を2018年度に1000億円に引き上げる目標を明らかにした。16年度と比べて4割以上伸ばす。スマートフォン(スマホ)の台頭でデジカメ市場は縮小傾向が続く。同社は高付加価値路線にシフトし、事業基盤を固める。

 増収計画の中核となるのが主力の「Xシリーズ」と「GFXシリーズ」。7日に都内で記者会見した古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)は「製品に特徴がないと価格競争に陥る。他社がやっていないやり方で差別化する」と力を込めた。

 9月下旬に発売するミラーレスデジカメの新製品「X―E3」は、重さが337グラムと同シリーズで最も軽い。画像認識のアルゴリズムを改良し、従来機種と比べて被写体の動く速さが2倍、大きさが半分になってもきれいな写真が撮れるようになった。高精細な4K動画の撮影も可能だ。本体価格は税別11万5000円を想定する。

 スマホが広く普及し、デジカメ市場は縮小傾向が続く。一般社団法人のカメラ映像機器工業会(東京・港)によると、デジカメの世界出荷金額は16年に7102億円だった。熊本地震で部品の供給が滞ったこともあり、15年比で2割ほど縮小した。特にスマホと競合するコンパクトデジカメ市場は今後も縮む可能性が高い。富士フイルムはコンパクトデジカメから価格帯が高めのミラーレスに大きくかじを切り、荒波を乗り切る考えだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07HLJ_X00C17A9000000/