人手不足が深刻化する中、大手ハンバーガーチェーンの日本マクドナルドは、働くことを希望する主婦、数万人の採用を目指して、採用活動を強化することになりました。
日本マクドナルドは、5日から来月末までのおよそ2か月間を、主婦のアルバイトの採用を強化する期間に定め、数万人の採用を目指すことを明らかにしました。

具体的には、全国およそ2900店舗で主婦を対象にした調理や接客の体験会を開くほか、会社のホームページに働く主婦を紹介する動画を掲載するなどして採用活動を強化します。

5日は東京・中野区の店舗で体験会が開かれ、働くことを希望する主婦10人が、実際にちゅう房でハンバーガーの調理を体験しました。
参加した54歳の女性は、「30年近く専業主婦でしたが、子どもが独立したので働いてみたいと思いました。家事をしながら短時間でも働けそうなので、挑戦してみたい」と話していました。

この会社では、アルバイトの店員はおよそ13万人に上りますが、少子化の影響もあり学生は集めにくくなっていて、現在は2割程度にとどまっている主婦の採用を増やすことにしたということです。

仕事を覚えられるか不安に感じる主婦も多いということで、接客や調理などのマニュアルもイラストや写真を増やすなど、わかりやすく見直したということです。

日本マクドナルドの長敦子人事本部長は「主婦はおもてなしの気持ちが強く、店舗を清潔に保つ意識も高いので貴重な人材だ。学生が中心の職場だったが、主婦の採用を強化したい」と話していました。
主婦活用へ 働く環境の整備広がる
外食やコンビニの業界では、人手不足を補う働き手として主婦を活用しようと、働く環境を整備する動きが広がっています。

牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングスは、子育て中でも働きやすい環境を作ろうと、おととしから社員やアルバイト向けの保育所を設置しています。保育所は、店に合わせて年中無休で利用できるということで、現在は茨城県内の2か所に設置されていますが、会社では保育所の数をさらに増やしていきたいとしています。

ファミリーレストラン最大手の「すかいらーく」は、育児や介護などを理由に仕事を辞めた社員やアルバイトに再び働いてもらおうと、ことし5月にはインターネットの専用サイトを作って、再び働き始めた主婦の体験談などを紹介し職場への復帰を呼びかけています。

カフェなどを展開するプロントコーポレーションでは、一部の店舗で従業員の主婦などが無料の通信アプリでグループを作って日頃から交流を深めてもらい、子どもの病気など急にシフトを代えたい場合に互いに頼みやすい環境作りを進めているということです。

また、コンビニでは、ファミリーマートが全体で10万人の主婦の採用を目指して大規模な説明会の開催を計画しているほか、セブンーイレブン・ジャパンが一部の店舗に保育所を併設する予定で、人材不足が深刻化する中、主婦を獲得するための競争も激しくなっています。
専門家「家庭とのバランス取れる職場を」
外食業界などで主婦の採用を強化する動きが相次いでいることについて、民間の調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長は、「家庭でふだんから食事を作っている主婦は、ちゅう房に入っても調理することに抵抗感がなく、PTAやママ友などとの交流で培ったコミュニケーション力も接客に生かすことができるので、企業側は戦力にしたいと考えている」と指摘しています。

そのうえで、「企業側はこれまで、フルタイムで残業もできる従業員を前提に職場作りをしてきたが、家庭とのバランスが取れる職場を作ることができないと優秀な人材を採用できなくなるおそれがあり、企業側が変化できるかがポイントになるだろう」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170905/k10011127771000.html