https://www.nikkei.com/content/pic/20170904/96958A9E93819688E2E69B82EB8DE2E6E2EBE0E2E3E59793E0E2E2E2-DSXMZO2073230004092017EA2002-PB1-11.jpg
 カジュアル衣料品店「ユニクロ」の来客数が4年ぶりにプラスとなった。ファーストリテイリングが4日発表した2017年8月期の国内既存店実績は前の期比2.9%増加。16年2月に実施した一部商品の値下げが通年で寄与したほか、新商品も好調だった。単価下落を補い、売上高は1.1%増と5年連続プラスを確保した。

14、15年に実施した値上げ後の客数減少を受け、昨年2月に一部商品の値下げに踏み切った。週末のセールを抑える一方、平日から価格を下げる戦略が徐々に消費者に浸透している。昨年3月を底に客数は少しずつ回復していた。

 人気の新商品も下支えした。16年2月、ワイヤを使わずに胸の形をきれいに保つ「ワイヤレスブラ」を発売。プロゴルファーや東レと組んで開発した軽くて伸縮性の高い「感動パンツ」の販売も好調だった。

 一方、客単価は1.8%落ち込んだ。値下げの影響が出たほか、肌着など比較的単価の安い商品が好調だったことなどが要因だ。通年で前年を下回るのは13年8月期(4.3%減)以来、4年ぶり。前期で5年連続の増収を記録したが、「客単価上昇で客数減をカバー」していた16年8月期までの3年間とは逆の構図となった。

 売上高を上期(16年9月〜17年2月)と下期(17年3〜8月)で比較すると、「下期貢献」が顕著だった。上期は前年同期比微増だったのに対し、下期は2.4%伸びた。夏物商品や機能性商品の販売が増え、キャンペーン開催なども寄与した。

 ファストリは7月に16年9月〜17年5月期決算を発表した時点で、前の期比約4割増の1750億円を通期の同社全体の営業利益予想としている。

 中期的には16年8月期実績の1.7倍にあたる売上高3兆円をめざしている。「成長の軸は海外」(柳井正会長兼社長)で、国内で稼いだ利益が中国や欧州などで投資する際の原資となる。引き続き国内ユニクロ事業の重要度は高く、客数と客単価をそろって伸ばす戦略がポイントになる。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04IP9_U7A900C1EA2000/