テレビ9万台、靴100万足、おもちゃ200万個――。

たった1日でこれだけの商品が売れていく、年に一度のアマゾン「プライム会員」(日本では税込み年額3900円)向け巨大セール「プライムデー」。今年は7月10日18時から11日24時までと、昨年より6時間長い30時間にわたって開催される。

プライムデーは今年で3回目。開催国は日本や米国、英国、ドイツなどの欧米諸国に今年から中国、インド、メキシコが加わり13カ国となった。

10日と11日の夜がセールのヤマ場に
「プライムデーは、すべての商品カテゴリーが注力分野だ」。米アマゾン本社で全世界のプライム事業を統括するグレッグ・グリーリー副社長はこう宣言する。

実際、セール対象商品は、自動車、宝飾品、一眼レフカメラなどの高額品から、パソコン、スマートフォン、ゲーム機器などの電化製品、さらに食品、飲料、日用品、衣料品まで、全世界で数十万点をそろえている。

日本においては、カテゴリーや商品数を充実させるとともに「売り切れが発生しないよう、在庫を厚く確保することに全社を挙げて注力した」。アマゾンジャパンの?川謙(かせがわ・けん)プライム統括事業本部長も自信をのぞかせる。

今年は開催期間が30時間に延びたことで、夕方から夜にかけてアクセスが集中する時間帯が10日、11日と2回訪れる。品切ればかりになっては顧客満足度を下げてしまい、アマゾンにとっても機会ロスになる。そのため、在庫確保には昨年以上に気を遣っているわけだ。

今回は中国における販売動向も注目される。EC最大手・アリババグループが11月11日に開催する「独身の日」のセールでは、昨年のセールの総取扱高は1207億元(約1兆9300億円)に達した。アマゾンもアリババのように、驚異の結果を残せるか気になるところだ。

中国におけるアマゾンのプライム会員プログラムは昨年10月に始まったばかりだが、米国や日本などから無料で越境配送を受けられるサービスが好評を得ている。そのため、日本国内のメーカーや出品者もプライムデー期間中の販売増に期待を寄せる。

激増する配送量に耐えられるのか?
こうしたトラブルは、「デリバリープロバイダ」と呼ばれる地域限定配送業者が配送を担う場合に発生している例が多いようだ。

宅配大手のヤマト運輸はドライバーの負担軽減に邁進しており、アマゾンの当日配送の請負を徐々に縮小、ひいては撤退することを視野に入れているとみられる。そんな中、デリバリープロバイダは今後、アマゾンの配送を支えるための“生命線”になりうるのだが、あまりに心もとない。

プライムデーで激増が見込まれる配送量に懸念はないのか。アマゾンは詳細を明かさず、「各配送パートナーと協議しながら、最高のサービスを提供できるよう準備をしている」と回答するのみだ。

日本国内で右肩上がりに成長してきたアマゾン。今年のプライムデーはユーザーだけでなく、世間一般から広く注目を集めそうだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/179788