>>1の続き

 ◇説明したつもりのショップと理解できなかった利用者

 とはいえ、そこを差し引いたとしても、十分な説明がなされなかったという結果は覆らないだろう。覆面調査の直後に行われた利用者のウェブ調査で、似たり寄ったりの結果が出たことでも裏付けられる。

 携帯電話販売代理店の業界団体である「全国携帯電話販売代理店協会」(全携協)からは、「この結果には違和感を抱かざるを得ない」という趣旨の発言があった。ショップスタッフはちゃんと説明しているはずだ、というのだ。

 このギャップは、ショップスタッフとしてはちゃんと説明したつもりでも、たくさんの小難しい事柄を一気に早口で説明されれば、利用者の記憶には残らない、ということに起因していると考えられる。利用者がたとえ書類に署名したとしても、内容を理解したとは限らないのだ。

 今回の調査結果を受けて、総務省は大手事業者3社を行政指導する方針だ。3社がショップスタッフに対して、これまで以上にしっかりと丁寧に説明するように、と指導することになる。

 そこでもう一つの課題が浮上する。というのも、携帯電話ショップでは、手続きの待ち時間の長さが問題となっているからだ。働き方改革に対応して、ショップの営業時間短縮や定休日設定が進んでいる今、丁寧な説明はさらに待ち時間を長くする可能性がある。

 ◇ショップ覆面調査は今後も実施予定

 この問題を解決するために、ショップ応対時の業務フローを抜本的に変える必要が出てくるだろう。対面説明の際、必ず説明しなければならない重要事項をタブレット画面にしっかり盛り込み、重要事項を分かりやすく、かみ砕いて解説するアニメーションや動画を作り、待ち時間にタブレットで見てもらう、などの方法も有効だろう。

 同時に、契約に関する十分な知識を持ち、ショップスタッフからの口頭説明は不要であることを承諾した利用者に対しては、電波の入りが悪いことを除き、8日以内の契約解除には応じない、といったルールを作り、説明時間を短縮する取り組みも不可欠になるだろう。

 総務省は販売ショップへの覆面調査を本年度下期にも行う予定だ。誰もが納得する調査を実施することで、今後業界を挙げたルール作りと全ショップへの徹底が進んでほしい。1年後には、驚くほど改善された調査結果が報告され、誰からも信頼される携帯電話業界に生まれ変わっていることを祈る。