[ニューヨーク 29日 ロイター] - 「5月に売れ」という格言はウォール街でおそらく最も古いものだが、今年もその通りに実行している米投資信託が数多くあるようだ。

S&P総合500種指数.SPXはこの半年のリターンが10.8%に上り、1990年以降の12カ月平均リターンも基本的に達成しているが、ではなぜ売却するのだろうか。

実際、政治的混乱やバリュエーションの高さは一部投資家の利益確定売りを誘発している。リッバーのデータによると、米国のファンド投資家は今月に入って米株から170億ドル以上を引き揚げ、直近の週ではその額が今年2番目の規模となる101億ドルに上った。

ただ、一部の投資家はこうした流れや歴史に逆らって投資する構えを見せており、今年は「5月に買え」というアプローチを推奨している。

コーナーストーン・フィナンシャル・パートナーズのクリス・ザッカレッリ最高投資責任者(CIO)は「どちらかと言えば、5月に買って11月に売りたいと考えるかもしれない」とコメント。強気の要因は、トランプ政権への政策期待より世界経済の見通しによるものだという。

ザッカレッリ氏はトランプ政策に対する期待はかなり低下したと指摘。「米政府が年内に税制改革や海外利益の米国還流(リパトリエーション)などを何も実現できなければ、やや失望が起きるだろう」とし、そうした失望は11月か12月ごろになるだろうと予想した。

ビスポーク・インベストメントによると、過去20年間、S&P総合500種に100ドルを投資したとすると、11月に買って4月に売った場合は343ドルになり、5月─10月だと98.5ドルになったという。

これが1928─2017年の間だと、11月─4月は4270ドルとなったが、5月─10月だと257ドルにしかならなかった。

ビスポーク・インベストメントの共同創業者、ポール・ヒッキー氏によると、夏季は物事が停滞し、ボラティリティーが高まる機会を待つ傾向があるという。

これに対し、ハンティントン・ナショナル・バンクのジョン・オーガスティンCIOは「『5月に売れ』とは反対の策を取り、今年これまで大型株をアンダーパフォームしている米小型株や中型株を選好している」と述べた。

米小型株のラッセル2000指数は年初来1.8%高で、S&P総合500種の7.8%高、ダウ工業株30種.DJIの6.6%高、ナスダック総合.IXICの15.3%高を下回っている。

オーガスティン氏は「売るには予想よりタカ派的な連邦準備理事会(FRB)や予想より弱い経済データが入り混じる状況が必要だ。そうなれば、この夏に国内株が売られる可能性がある。ただ、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を受け、夏の間はハト派的姿勢が維持されると考え、市場は今週、そうした可能性を考慮しなかった」との見方を示した。

2017年 05月 29日 08:52 JST
ロイター
http://jp.reuters.com/article/usa-stocks-weekahead-idJPKBN18O0U0