http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD26H45_W7A520C1000000/?dg=1&;nf=1

2017/5/26 19:07


 シャープは26日、2017〜19年度の中期経営計画を発表した。17年度は最終損益が590億円と4期ぶりに黒字に転じ、19年度の売上高は3兆2500億円、営業利益は1500億円と経営危機前の水準を見込む。
戴正呉社長は堺市内で開いた記者会見で「8KとAIoTで世界を変えるだろう。必ずV字回復する」と述べた。主なやりとりは以下の通り。

 ――8Kを推し進めていますが、国内メーカーが有機ELテレビなどを出すなか勝算はありますか。

シャープの液晶パネル生産の重要拠点である亀山工場(三重県亀山市)
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シャープの液晶パネル生産の重要拠点である亀山工場(三重県亀山市)
 「ぜひ比較して見て欲しい。明るさや高精細さが違う。これからの8Kはディスプレーだけじゃなくカメラも作っていきたい。赤字でも売りますから。亀山工場で8Kテレビを作り、できれば8Kのエコシステムは全部日本で作りたい」

 ――新たにスマートホームや電子デバイス事業領域を設置し売り上げを伸ばすということだが、どういった商品・サービスがけん引しますか。

 「これからはIoTの時代に入る。今までシャープが強かったのはディスプレーでアウトプットの部分だ。カメラモジュールなどインプットの技術も持っており、これからはディスプレー以外の分野にも展開していく。亀山工場やベトナムで展開していく」

 ――家庭向けのIoTサービスのプラットフォームは競争が激しくなると思うが他社との連携は考えていますか。

 「いろんな可能性がある。もし連携が可能なら必ずやる。ソフトバンクなどによる投資ファンドへの参加により先端企業ともパートナーになれる」

 ――親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業と中国や米国で液晶パネル工場などの投資の計画があるがシャープとしてはどう関わりますか。

 「シャープの人材を生かすには新しい工場が必要だ。もし米国で投資の条件が良く競争力があるならば米国に新しく工場をつくりたい。
米国市場は1番大きいが液晶パネル工場は1つもない。安いスマートフォン(スマホ)ばかり考えていたら将来性がなく、高付加価値化を強調したい」

 ――社長に就任されて約9カ月たちますが達成度は何点ですか。

 「自分が何点取れるかはわからない。だが14、15年度と2千億以上の赤字があったが、私が来てから黒字になった。これは私の実績だ。19年度の目標も必ず達成したい」

 ――以前の体制で人員削減したこともあり社員数が減っています。人材面はどう補いますか。

「人員削減報道されているが私は反発したい。(派遣社員や他事業所からの転籍を含めて)亀山工場の働く人員を強化し4千人規模に増やす。実際の状況を見てほしい」

 ――東芝の半導体メモリー事業への応札の狙いはなんですか。

 「今応札中なのでノーコメント。終わったら説明する」

(岡田江美)