13日閉幕したG7財務相・中央銀行総裁会議は格差の是正に取り組むことを確認した。格差の拡大が保護主義や反グローバリズムにつながり、政治が不安定化することが世界経済成長のリスクになるとの危機感がある。ただ、各国とも財政などに制約がある中で、即効性のある処方箋は打ち出しにくいのが実情だ。

 会合では、議長国のイタリアが格差問題を主要テーマに設定。イタリアは総選挙を控え、国民にアピールしやすい面もあるが、欧米では格差問題が切実だ。

 グローバリズムや技術革新の恩恵を受けられない国民の不満が、反欧州連合(EU)の動きや「米国第一」を唱えるトランプ米政権の誕生につながったとの見方は根強い。

 格差是正には失業者への職業訓練や教育予算の拡充などが有効だが、財源が必要。財源確保のために富裕層や企業の税負担を増やせば、産業競争力を低下させるジレンマもある。

 日本でも今後、格差に対する国民の不満が高まる可能性はゼロではない。厚生労働省の調査によると、世帯ごとの所得格差は平成25年に過去最大になった。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170513/mca1705132137015-n1.htm